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進学選択制度~文系編~

こんにちは、polarisメンバーで文科二類2年生の大福です。
今回は文系の進学選択制度についてお話しします。

東大名物の進学選択制度を一言で言うと、「学部2年生で3年生以降に所属する学部学科を決定する、東大独自の制度」のことです。
内定先は選考で決まり、選考には成績が大きく反映されます。

東大生の間では「進振り」と呼ばれ、東大在学中の一大イベントとなっています。

ここからは文系学生の進学選択制度を三つのポイントに分けて説明します。

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①スケジュール

まずは進学選択制度のスケジュールについて紹介します。

進学選択制度で選考の基準とされるのは、東大入学時から学部2年生のSセメスターまでの期末試験の成績です。
(東大は2セメスター制で、4〜7月がSセメスター、10月〜1月がAセメスターです。)
そのため、東大生の多くは自分の希望の学部への内定を勝ち取るために、大学受験という競争から解放されたにもかかわらず、入学直後から再び熾烈な競争を始めます。

学部2年生の6月下旬に進学者の定数が発表され、その後すぐに進学の志望・不志望を登録します。

そして8月後半、期末試験の成績が発表され、進学先の希望を登録します。
第一段階から第三段階まで内定先が決定するまで希望を出し続けますが、多くの学生は第一段階で内定先が決定します。

友人らと進学先内定を「おめでとう」と言い合い、喜ぶ光景が各所で見られます。

晴れて進学先が決定したら、学部2年生のAセメスターから進学後の学びの基礎となる「持ち出し科目」が各学部学科で開講されます。

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②学部選び

進学選択制度において重要なキーワードの一つが「底点」です。
底点とは、入試における合格最低点のようなものであり、それぞれの学部学科に内定するための最低点数です。
毎年若干の変動があり、学生の注目が集まります。

実は、科類によって進学しやすい学部に差があります。
文科一類は法学部、文科二類は経済学部、文科三類は文学部・教育学部などのように、進学できる科類が指定された「指定科類枠」が設けられています。
「指定科類枠」は「全科類枠」に比べて底点が低いことが多いため、進学しやすいと言えます。

また、後期教養学部などの人気の学部は毎年底点が高くなる傾向があるため、自分の点数と睨めっこしながら希望の学部を決定します。

中には文系から理転する人もいて、夏休みが明けた後、クラスの誰がどこの学部にいったのかで盛り上がることもしばしばです。

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③進学選択制度に向いている人

最後に、私が考える、進学選択制度に向いている人の特徴をお話しします。

・自分の興味分野がまだよくわからない人

 やはり、進学選択制度の醍醐味は大学入学後、約1年半ものあいだ、自分が本当に学びたい分野をじっくり悩めることです。
 前期教養学部の間は、必修科目以外はかなり自由に、さまざまな講義を受講することが可能です。
 入学前は思いも至らなかった分野に興味が出てくるかもしれません。

・入学後も試験勉強に注力できる人

 進学選択制度で自分の納得のいく結果を収めるにはある程度の成績が必要です。
 試験期間の駒場図書館は席を見つけるのも一苦労なほど人で埋まります。
 受験競争にうんざりした方は、「入学しても競争か」と思うかもしれません。

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今回は進学選択制度について紹介しました。
自分の興味分野をじっくり吟味できる東大の良さが表れた進学選択制度。
みなさんも東大に入学したら、進学選択制度を存分に活用してみてください。


進学選択制度~理系編~

こんにちは、理科二類年生のでんです!
今回は理系の進学選択制度についてお話しします。
理系の進学選択には文系と違う点がいくつかあります。
進学選択制度の概要と、スケジュールについては、文系の記事を参考にしてください!

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①学部選び

理系は文系とは異なり、物理、化学、生物といった科目の中でもさらに分野が細かく分かれているため、自分が学びたいことを基にどの学科を志望するか決断する必要があります。

理系にも科類によって進学しやすい学部に差があり、
理科一類は工学部、理学部(物理・化学系)
理科二類は薬学部、農学部、理学部(生物・化学系)
理科三類は医学部とよく言われます。

ただし、これが全てではなく、例えば工学部にも理科二類から進学できる枠がある学科がもちろんあります。
実際に私も理科二類から工学部の化学系の学科に進学が内定しました。

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②学部指定の平均点

進学選択は原則「基本平均点」を用いて行われます。
大学では授業を履修して、テストやレポートなど担当の先生が決めた条件をクリアすれば「単位」をもらうことができます。
取得した単位数が進学条件や卒業条件になります。

基本平均点は
{(授業Aの単位数)×(授業Aの点数)+・・・} ÷ 単位数の合計
で求められます。
ただし以下のような例外もあります。

1)工学部指定平均点

授業の点数は100点満点で、工学部指定平均点では点数を10点満点に換算します。
例)75~79→6点、80~84→7点
そのため工学部指定平均点は
{(授業Aの単位数)×(授業Aの換算後の点数)+・・・} ÷ 単位数の合計
で算出されます。
79点と80点のたった一点差が基本平均点よりも大きな意味を持つことになるので工学部を志望する人は「一点でも高く」という精神が大切です。

2)農学部第一段階・第三段階指定平均点

求め方は(基本平均点)× 取得単位数 です。

こちらは工学部とは違い、取得単位数が大きな鍵を握ります。
少し点数が低かったとしても、より多くの授業の履修し単位をとった人が有利になります。

上の二つの学部のように、指定平均点を用いる場合はそれにより戦略を変える必要があるので要注意です!

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②履修点

履修点とは簡単に言うと「学科から指定された授業の単位を取ると加算される」点のことです。

教養学部・工学部・理学部の一部の学科で実施されています。

履修点を設けている学科を志望している人は指定された科目を受けると点数も加点されて、さらにその学科に関することを学ぶことができるので一石二鳥です。

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他にも様々な例外もあり、進学選択は複雑ですが、東大の公式のページやそれを分かりやすくまとめたウェブサイトもあるので、東大入学前に進学選択について調べてみてください!