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①polarisメンバーに迫る!〜その1〜

こんにちは。polarisメンバーで東京大学理科二類1年のでんです!
今回はpolarisの先輩にインタビューをさせていただきました。
今回インタビューした人:はるさん
所属:東京大学工学部化学システム工学科三年
polarisでの役職:ツアー班、合宿係、ホームページ係
所属サークル:polaris、東京大学ブラスアカデミー
趣味:楽器(オーボエ)

ーはるさんは、現在大学で主に何を学ばれていますか?

 化学製品の製造の仕組みを考える化学工学という分野を勉強しています。
まだ三年生なので、有機化学、物理化学といった化学の基礎を学びつつ、
シミュレーションを通じて製造や研究の進め方の効率化を行うための基礎や、
化学と社会のつながりなど、基礎的なことを幅広く学んでいます。

ー現在の学科を選んだ一番のきっかけは何ですか?

 中学三年〜高校一年生頃に、現代社会の授業で個人でテーマを設定して調べ学習をする機会があり、
ジェネリック薬品について調べました。
製薬会社にインタビューを行い、その時からジェネリック薬品に将来関われたら面白いなと思い始めました。
薬学部はこの世にない薬を開発する学部で、それもとても面白いと思い迷いました。
ただ、その開発された薬が一番効率的なものかは検証されずに作られていることが多いです。
そこで、現在ある薬をもっと安く製造できるのではないか、
もっと飲みやすくなるのではないか、などの観点から改善を行う化学工学の方が
私にとってより魅力的に感じたので、今の学科を選びました。

ー現在関心を持っている社会問題はありますか?

 やはりpolarisに所属していることもあって、ジェンダー問題に対する関心が強いです。
polarisに入る前は「女子が少ないのは嫌だな」といった、
ジェンダー問題によって自分に起こるマイナスの面を感じたことをきっかけに、
ジェンダー問題に関心を抱いていました。
しかし、polarisに入った後はジェンダー問題に関する授業や大学のプログラムに参加したりすることで、
もっと広い観点でジェンダー問題を見るようになり、
自分には何ができるだろうと、改善策を考えるようになりました。

ー印象に残っているpolarisの活動はありますか?

 ツアー班の班長、責任者として完成させたツアーです。
新型コロナウイルスが流行してすぐは対面ツアーができず、
かろうじてオンラインツアーを1年に1、2回行いました。
その後私たちの代に引き継がれた時、新型コロナウイルス流行の中でも、
関わることのできる高校生の数をとにかく増やすことを目標にし、
オンライン、対面合わせてツアーを1年に6回ほど行い、大幅に数を増やしました。
増やした分大変ではありましたが、たくさんの高校生と触れ合うことができたのがとても嬉しかったです。

ーpolarisの活動をしていて良かったなと感じたのはどんな時ですか?

 イベントで「東大生のイメージが変わった!」といった感想をもらった時はすごく嬉しかったです。
私たちは自分達が高校に直接赴くという形の対面ツアーしかできなかったのですが、
そうすると東京大学に興味がある子が、興味がなかった子を誘ってくれることがあり、
元々興味のなかった子がフリートークなどで「イメージ変わりました!」と言ってくれることがあったんです。
東京大学を目指している、目指そうとしているこの背中を押してあげられた時と同じくらい、
東京大学に関心のなかった高校生の心を動かせたのはとても嬉しかったです。

ーpolaris全体を通して、改善できるところはありますか?

 まずは、polarisのホームページを改善したいです。
「東大女子」と検索してみるとネガティブな情報ばかり出てくるんです。
そこで、polarisが行っている様々な企画や記事を載せて、ホームページを充実させていき、
「東大女子」の検索結果の上位に出てくるようになれば、
東大女子に対して不安を感じている子が検索をしたときに、素敵な記事が見つかり、
自信に繋がると思います。まだ勉強不足なので、これから改善していきたいと思っています。

ー”東大”だからこそできることはありますか?

 女性の雇用比率の問題などがあるのですが、それを改善するには、大学でしっかり学び、
社会に出たいという意志を持った女性が増えることが大事だと思います。
そして、polarisで東大の女子率を増やすという活動は、
女子高校生が能動的に「こうしたい!」と動いてくれるところに働きかけられることだと思うので、
そのような面から社会を変えられるというのは東大だからこそできることだと思います。

ー最後に高校生へのメッセージをお願いします!

 私たちは知らず知らずのうちに自分の将来の可能性を狭めてしまうことがあると思います。
私自身も「女子で東大に行くの怖くない?」と思っていました。
他にも無意識にマイナスなことを考えてしまうことは多いと思います。
もしそのような不安があったら、学校の先生に相談したり、polarisの質問箱で聞いてみたり、
オープンキャンパスで話を聞いてみるなど、ちょっとした不安な気持ちを解決する方法はたくさんあるので、
自分の進路の幅を無意識のうちに狭めないように、楽しい高校生活を送ってほしいと思います!
そして、ぜひ毎回パワーアップしていくpolarisのイベントに参加してみてください。
※polarisの質問箱のリンクはこちらです。
  ぜひ気軽に質問してみてください!

 私自身も化学系に興味があり、はるさんのお話は私にとっても非常にためになりました。
自分には考えつかなかった発想や意見を聞く貴重な経験でした。貴重なお話をありがとうございました!

②polarisメンバーに迫る!〜その2〜

 こんにちは!polarisメンバーで文科二類1年の大福です。今回はpolarisの先輩にインタビューさせていただきました。
今回インタビューした人:とむさん
所属:教育学研究科学校教育高度化専攻学校開発政策コース修士一年
polarisでの役割:広報班・新歓係・合宿係
(学部1年生〜2年生まで副代表、2年生〜3年生まで広報班班長、その他団体のイベントビラ、SNS投稿画像も担当。)
所属サークル:polaris、東大マンドリンクラブ
趣味:フィギュアスケート観戦

―まず、3年前進学先の学部を決めた際のお話を伺いたいと思います。

教育学部の教育実践・政策学コースに進学を決定するまでにどのような経緯がありましたか?
 教育学部の教育実践・政策学コースの他に、文学部の英文学科と、教育学部の比較教育社会学コースの二つが候補にありました。
文学部の英文学科は、英語教育に元々興味があって英語の世界に没入できると考えたから、
教育学部の比較教育社会学コースは、polarisと同じようなテーマで研究できるからという理由で候補でした。
しかし、最後はきっぱりと教育実践・政策学コースに進むことに決めました。
教育実践・政策学コースは、教育に関する問題の実態や原因を探るだけでなく、
そのような問題を生む社会制度について深く考察するという点が魅力的でした。

―現在、気になっている社会問題はありますか?

 学校の教師の多忙化解消方策に興味があります。例えば、学校の先生の多忙化を改善するために、
部活動のコーチを外部に委託するという話題が挙げられます。部活動を外に切り分けることで、教師の負担軽減が期待できます。
その一方で、部活動はあくまでも学校の管轄であるため、学校と外部コーチの連携を取るコーディネート役の教師が必要になることが考えられます。
そのため、教師の多忙化の解決には至っていないのではないかという問題点があります。

―続いて、polarisの活動について伺いたいと思います。まず、polarisに入ったきっかけを教えてください。

 理由は二つあります。 一つ目は高校一年生の時に、「東大に行きたい」と親に相談すると
「女の子が一人で上京するなんて」と猛反対されたこと、
二つ目は高い学力を有する生徒が集まる高校だったけれど、
女子特有の浪人回避・挑戦回避傾向があったことにモヤモヤしていたことです。

―polarisの活動をしていて、やりがいを感じる瞬間はいつですか?

 polarisのイベント参加者やオンラインコンテンツの読者が、
実際に東大に入学した(そしてpolarisに入会してくれる人もいる……!)と聞くと、成果を実感できて本当に嬉しいです。
※polarisでは毎年春(東大合格発表後)に受験生向けに進路調査アンケートを行なっています。ぜひご協力ください。

―東京大学で活動していて良かった点を教えてください。

 一番は、やはり注目を集めやすいことです。東京大学の女子比率が2割を切っているということを
そもそも知らない外部の人が多いです。東京大学の現場も含め、
ジェンダーと教育についての格差などを一緒に知ってもらえるという点が、良かったと思える点ですね。

―では、東大で活動していて残念に思った点はありますか?

 polarisの活動理念や活動内容を正しく理解していない人に出会うと残念に感じます。
ジェンダーと教育に関する問題に真正面から取り組んでいるからこそ、
問題に真剣に向き合っていない人や、女性蔑視の思考が残っている人の発言に対して敏感になってしまいます。
東京大学の女子生徒の比率が少ないことに関して、東大を知らない外部以外の人でも、
同じ東大生や、近い将来東大に入学しようと考えている女子高校生が
「男子生徒の方が頭がいいのかなと思った」「学問をしに大学に来ているのだから男女比など関係ない」といった
無関心さや格差の正当化を示しているのを目の当たりにして、ショックを受けました。

―最後に、東大にいるからこそできたと感じる経験はありますか?

 まず、東京大学に在籍していなかったら大学院に進むことは考えなかったと思います。
高校生の時点では気づかなかった、学問の広さ、深さに気づけたことは大きいです。
 また、polarisのような社会問題に向き合う活動にも参加していなかったと思います。
今は東大のローカル化(全国ではなく近隣地方ばかりから学生が集まってしまうこと;東大では関東出身者が増え、2022年現在では学生の6割以上となっています)も問題視していて、
多くの人がイベントやオンラインコンテンツに触れられれば良いというのではなく、
地方などで問題を抱えている人に直接的にアプローチできることを目標に活動しています。

 現在は修士論文に向けての研究と就活を目標にしているというとむさん。
教育格差の問題に真剣に向き合う姿がとても印象的でした。貴重なお話をありがとうございました。