TOP > MAGAZINE > 進学選択 前編

①進学選択制度について

こんにちは! polarisメンバーで文科三類2年のかなえです。今回のメルマガでは、「進学選択制度」について紹介します。 東大の特徴ともいえる「進学選択制度」。進学選択制度とは、簡単に言うと「入学するときに学部を決めず、大学の勉強をしてから2年生で専門となる学部・学科を選ぶことができる制度」のことです。ちなみに以前は「進学振り分け(進振り)」と呼ばれていたらしく、現在でも学生の間では「進振り」と呼ぶことが多いです。 他の大学では受験をするときに学部を選択するのが一般的ですが、東大では受験のときに学部を決める必要がありません(※推薦入試を除く)。東大では、受験のときには「文科一・二・三類」「理科一・二・三類」というざっくりした分かれ方になっています。学部を決定するのは2年生の夏。それまでの1年半の間に様々な授業を受け、各学部が開催するガイダンスや教授・先輩の話も参考に学部・学科を選んでいきます。そして、最終的には本人の希望と2年生の前半までの成績をもとに学部・学科が決まります。 「文科一類の人は法学部に進む人が多い」「理科一類の人は工学部や理学部に進む人が多い」などというように、ある程度は科類と学部の対応はありますが、例外も多いです。文系の学生が理系学部に進学することもあります。 高校生の間は大学の学問に具体的なイメージが湧かず、進路を決めきれない人も多いかと思います。私も高校生のときはやりたいことがたくさんあって、何学部を受験したらいいのか分かりませんでした。しかし、東大には進学選択制度があるので、大学の教授による授業を受けて、それを参考に進路を選ぶことができます。私は、迷っていた専門分野それぞれの入り口となるような授業を受けたことで、学問に具体的なイメージを持つことができ、自分が何を一番勉強したいのかを考えることができました。また、「〇〇の勉強がしたい!」と今からはっきり決まっている人でも、大学の授業を受けている間にさらに面白い学問分野を見つけられるかもしれません。私の友人は高校時代には「法律を勉強したい」と思っていたものの、経済の授業を受けてその面白さに気付き、今では経済学部を志望しているそうです。このように、進学選択制度があることで、自分が本当に勉強したいことを専門分野にすることができるといえます。 今回と次回にわたってpolarisのメンバーが所属する学部・学科について紹介します。楽しみにしてくださいね!

②法学部

こんにちは。polarisメンバーで法学部3年のまいです。 私は法学部への進学を決めた際に、周囲から「法学部を選ぶってことは弁護士になりたいの?」といった質問をよくされました。しかし、実際は法学部で学べることは法律科目だけではなく、司法試験を受ける人が必ずしも多数派というわけでもありません。それどころか近年は、東大法学部の卒業後の進路が昔と比べてどんどん多様になってきていると言われています。というわけで、実際法学部ではどんなことを学び、卒業後はどんな進路があるのか、東大生も意外と知らない法学部の中の3つのコースについて触れながら、紹介したいと思います。 法学部に内定すると、希望するコース(類)を3つの中から選ぶことになります。 第1類はビジネス法務、公務、マネージメント、研究職など、多様な進路選択に応じて、法学を幅広い総合的な視野の中で学修することを目的とした「法学総合コース」。第2類は、「法曹(特に裁判官、検察官、弁護士)」や「企業等における法律専門職」という具体的な進路を想定した「法律プロフェッションコース」。そして第3類は政治に関心を持ち、研究者やジャーナリストなどを目指す学生に適した「政治コース」です。 さらに、類によって授業科目や卒業後の進路に差が出てきます。 例えば2類は法律科目(民法、憲法など)の必修授業数が一番多くなっていますが、一方の3類は、政治科目の方が多く、リサーチペーパーという小論文が課されるのも特徴です。1類は両者の間にありバランス良く授業を取る感じですが、外国語科目が必須になっています。 また、卒業後の進路について見ると、第1類の卒業生は中央官庁を中心とした公務員、第2類は法曹、第3類は民間就職や研究者という進路への関連が見られます。 このように、法学部と一口に言っても学べる分野、卒業後の進路は多様ですし、類やゼミの選択によって自由に学習をカスタマイズすることができます。試験が大変そう、お堅いイメージなどと思われがちではありますが(確かに試験はきついですが泣)、進学後もますます多くの可能性が見えてくるような魅力ある学部だと思います。興味を持った方はぜひどんな授業があるかなども調べてみてください!

③医学部(医学科)

こんにちは、polarisメンバーで東京大学前期教養学部理科三類2年の鎌田康生です。 私が進学する「医学部医学科」について紹介します! まず、医学部と聞くと医者になるためのコースだと認識する方がほとんどだと思いますが、実はそれだけではありません。大学にも依りますが東大には医者になるための「医学部医学科」ともう一つ、「健康総合科学科」があります。こちらには環境生命科学・公共健康科学・看護科学の3つのコースがあり、看護師から官僚まで幅広く卒業後の進路をとれるようです。 それでは、ここからは医学部医学科について。東大の医学部医学科の最大の特徴は医学の勉強が2年の後期まで始まらないことです。他の大学だと教養課程をできる限り前倒しして早く医学の勉強に入りますが、東大では1年半の間たっぷりと教養科目を勉強することができます。また、そのせいで医学の勉強が後ろ倒しになるため後からしわ寄せが来ます。「他の大学で1か月かけてする内容を1週間で行っている!?」と外部からきた先生に驚かれるほどだそうです。結果的に必修の授業で時間割がほぼ埋まり、他学部の授業等、自分で選んで授業をとる選択肢がほぼないに等しいのが残念なところでもあります。 他にも、特色としては研究に取り組む制度が整っていることが挙げられます。地方の医学科では地域医療といった面が強いのに対し、東大では基礎研究に力を入れているといえます。例えば、大学3年生からはMD研究者育成プログラムが用意されており、医学科のカリキュラムにプラスして授業後に研究室に行き、研究活動を行えます(6年生まで)このプログラムには学年の約6割の学生が登録するなど、人気です。他にも、長期休暇中にはフリークオーターという名前の制度があり、基礎研究に早いうちから触れるため全員が2週間程度研究室に所属します。さらには、医学部を4年生終了時に休学して大学院博士課程に飛び級入学する、phD/MDコースもあります。とはいえ、臨床に関しても日本随一の関連病院数を誇っており、ほとんどの学生が普通に医者になります。 東大の医学科には臨床だけでなく様々なものに興味を持った仲間がたくさん待っています。自分の興味関心と照らし合わせたうえで、ぜひ挑戦してみてください!

④教育学部(教育実践・政策学コース)

こんにちは。polarisメンバーで東京大学教育学部3年のとみーです。 私の所属する「教育学部 教育実践・政策学コース」について紹介します。 はじめに、教育学部についてざっくり説明します。 まず、東大の教育学部はいわゆる"教員養成コース"ではありません。(教員免許は希望すればほぼ全ての学部で取得できます)「教育学部」と聞くと「先生になるの?」と思われがちですが、東大の場合は教育関連の学問を学ぶところです。もちろん、教員養成を目的とした教育学部も他の大学にはあります。 教育学部には5つのコースがあり、それらは①基礎教育学コース ②比較教育社会学コース ③教育実践・政策学コース ④教育心理学コース ⑤身体教育学コースです。     今回は③の教育実践・政策学コースについてお話しします。 「教育政策」と聞いて、みなさんが思い浮かべるのは文科省でしょう。教育行財政学では、文科省含む教育政策や教育行政について学びます。身近なテーマでいうと、公立学校の教員の給与がこれに関連します。 では、「教育実践」は何だと思いますか?答えは、授業研究です。私たちがなんとなく受けている授業も、教師ー教室空間ー教科書などの学習対象ー学習者(生徒)などの関係性によって結ばれています。授業ビデオなどを見て、その関係を探っていきます。 他にも、このコースでは様々なことを学べます。「教育」というと学校教育のイメージが強いですが、社会に目を向けてみるといろんなところに教育が紛れ込んでいます。例えば、公民館。あまり馴染みがないかもしれませんが、これは「生涯教育」「社会教育」と呼ばれる分野において研究が進んでいます。また、図書館も地域・学校の教育に貢献しています。図書館情報学という分野がありますが、それもこのコースで学べることです。さらに、幼児教育についても学ぶことができます。 このように、学校現場に近づいて授業研究したり、逆に学校から離れて教育行政や学校教育以外をメタ的に眺めたりすることができるコースです。 教育学部のHPには、高校生に向けたページがあります。ぜひアクセスしてみてください!(http://www.p.u-tokyo.ac.jp/entrance/highschool)