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編集後記

記事を執筆したメンバーが、インタビューを通して感じたこと、考えたことをまとめました。

(女子の)浪人についてあらためてどう思ったか?

[現役で合格したメンバー]
・大学で浪人を経験した女子学生に出会うことはありましたが、浪人に至る経緯や浪人中に感じていた思いなどをこんなにも詳しく知ることは今までありませんでした。インタビュー内には浪人生ならば皆が感じそうな悩みも、女子だからこそ感じたであろう葛藤も出てきますが、どちらを見てみても「浪人」という選択は高校を出たばかりの若者には大きなものであるということを感じることができました。(なか)
・私自身は浪人を全く考えておらず、とにかく受かった大学に進学しようと考えていたので、今回の企画で浪人することによる葛藤や成長のお話を聞き、浪人という決断の難しさや勇敢さを改めて感じました。私の身の回りにも、現在進行形で浪人をしている友人や、浪人を経験した同級生がいます。彼らの決意と努力を改めて尊敬する思いです。(M. H. )
・私がインタビューしたのは地方で浪人を決めた方で、様々な苦労や逆境を乗り越えてきたのだということを知って頭が下がる思いです。私自身は浪人を考えていなかったので、女子で浪人するということの難しさ、悩み、その経験から成長したことなど、全てのお話が新鮮なものでした。偏見がなくなり、女子学生が夢や目標を叶えるために浪人するという選択肢が当たり前に取れるような世の中にしたいと改めて思いました。(もも)
・私自身は地方出身で、まわりに浪人を選択肢に考えている女子生徒はいませんでした。私が担当させていただいたインタビュイーの方々はいずれも関東出身の方々で、地方とはまた違う考え方で進路を決めていらっしゃったのが印象的でした。性別や地域に関係なく、自由に夢を描き、挑戦できる社会が実現してほしいと改めて考えます。(Tau)
・私は女子校出身で、周りでも大学受験失敗したら浪人するか~という雰囲気だったので、あまり女子の浪人が特別なものだとは思っていませんでしたが、この企画を通して改めてまだ女子の浪人に特殊性があることを感じました。(たま)

[浪人を経験したメンバー]
・私がインタビューしたお二方は、親御さんが娘さんの自由を尊重なさる方でしたが、世の中の親御さんが皆そうとは限らないと思います。やはりご両親や先生方のご意見は、高校生が進路を決める上で大きな影響を持つと思います。仮に周りの風当たりが強かったらお二方はどうしていたでしょう...。女子で浪人に挑戦できるのはもしかしたら恵まれた環境のおかげなのかもしれないと思いました。(みと)
・私が浪人を決めた時はすごく不安な気持ちでしたが、今になってインタビューを通じて自分と同じように勉強への不安を抱えながらも再チャレンジを選択する女子学生がいることを感じることができました。さらにそのこと(不安になりながらも浪人を選ぶ女子学生がいること)を皆さんに知っていただき、励みになったり応援の輪が広がっていけばいいなと思います。(ぱんだ)
・それぞれのインタビュイーの方において、浪人の1年間の環境や、その捉え方は違っても、みなさんがその経験を現在の自分の糧にされているのが伝わってきました。浪人を選択することに対しては不安を抱く方が多いと思いますが、結果の良し悪しにかかわらず、しっかり自分と向き合う1年間は決して無駄にはならないのだなと感じました。(たむ)

企画の良かった点

・強い意思を持って勉強を頑張って来られた方ばかりで、インタビューをしていて刺激を受けました。東大への強い気持ちや、将来に対する考えを聞くことができてよかったと思いました。(みと)
・なかなか対象者が少ないインタビューだったので、全てが貴重なお話だったのではないかと思います。進路に悩んでいる高校生にも、大学に入学した後の大学生にもどちらにも読んでほしい内容になっています。(なか)
・浪人を選択した皆さんの熱い思いを伺って、自分が東大にいる意味というか東大生としてやらなくてはいけないことを感じることが出来ました。(ぱんだ)
・女子浪人生がそもそも少ない上に、ここまでじっくりお話を聴く機会はないので、とても貴重な経験でした。何かを始めたり、決意したりする勇気をもらえるインタビューになったと思います。(もも)
・私の高校同期にも浪人をしていた友達がいましたが、関わりの深さゆえにその話はタブーのようになっていて詳しく話を聞くことはできませんでした。今回このように企画として浪人を経験した方のお話を聞くことができて、とても貴重な経験をさせていただけたと思います。(W.N.)
・予備校においても現役生と浪人生はクラスが分かれていて、浪人という経験がどういうものかについてはなかなか現役生が知ることができないと思うので、こうして様々な方のお話を体験記として公開できてよかったと思います。(たむ)

大変だったこと

・インタビューをするときに質問の順番を考えたり、話の流れをつくるのが難しかったです。回を重ねるごとにインタビュイーの方がお話しやすいように工夫を凝らしました。(みと)
・インタビュイー探しに苦労しました。インタビューの多様性を確保するため、様々な属性のインタビュイーを探しましたが、やはり地方出身や公立高校出身の(浪人を経験した)東大生は少なかったです。(なか)
・辛い時期のお話を聞くことも多く、聞く姿勢や質問の仕方が難しかったように思います。インタビュイーの方に安心して答えていただけるよう、もっと精進しなければいけないなと感じました。(M. H. )
・様々な話題をまとめて一本の流れを作るのが難しかったです。入れたい内容が多く、言葉を取捨選択するのに苦労しました。(もも)
・インタビューの流れが単調なものになってしまい、うまく話を広げられなかったのが大変でした。インタビュアーの人はすごいなと思いました(笑)(たま)
・他の人も書いていますが、インタビュイー探しが大変でした。メンバーのクラスやサークルの伝手で探していたのですが、そもそも女子が少ないという東大の問題点をこの点でも痛感しました。(W.N.)

印象に残った言葉

・まのあさんの記事のタイトルにも引用したのですが、現役時代に「私は東大には行けないから、という理由で志望を下げてしまった」というお話です。まのあさんは浪人して東大に合格することで、そんな弱い自分に打ち勝ちました。東大には女子が少ないために、女子が東大を受験するハードルが必要以上に上がっていると思います。女子が東大なんて、とてつもなく頭が良くなければ無理だと思って諦めてしまう女子学生が、一人でも減ってほしいです。(みと)

もっと良くできると思った点(企画の改善点)

・実際に浪人を経験して東大に合格した女子学生の方は、親御さんに浪人を反対されてこなかった方ばかりだった気がします。私たちが応援したい、浪人を反対されている女子学生に対して具体的なアプローチができなかったと感じています。難しいとは思いますが、浪人を反対されたために東大を諦めて、併願した私立大学に現役で進学された方や、東大をそもそも受験せずに地元の国立大学を受験し、進学された方からお話を聞ければ、問題点を浮き彫りにして改善に向けて動けるのではないかと思います。(みと)
・今回の企画は浪人をして東大に入学した女子学生のみに限定してインタビューを行いました。それによってその対象について理解を深めることができましたが、今後は比較対象として別の属性の方にもインタビューができれば、より浪人を経験した女子の抱えているハードルの特殊性を浮かび上がらせることができるのではないかと思います。(なか)
・私は実践してみたのですが、インタビュイーの人に東大女子率についてどう思うか、polarisの活動についてどう思っているか、などを聞いてメンバー共に考えを深められたら、ただの体験談に収まらない学びが得られると思いました。(たま)

企画を通して新たに学んだこと

・広い話になりますが、受験にはジェンダーの問題だけでなく、地方と都会の学校の格差や、家庭間の経済格差、子育てに関する問題、学歴と雇用に関する問題、伝統や慣習に関する問題を含め、日本におけるさまざまな課題が投影されているのではないかと感じました。今後もpolarisでの活動を通して女子学生の教育について考えながら、視野を広げて種々の課題に目を向けていきたいと思いました。(みと)
・実際に浪人を経験した方のお話を聞いて、やはり高校生の進路選択には家族や学校の影響力が大きいのだと感じました。よくも悪くも住む世界が限られていて、どうしてもその環境の文化を自明視してしまいがちだと思います。その中で私たちのような学生団体がどういう方法で・どの程度アプローチすることができるか、深く考えていかないといけないと思います。(なか)

(学びや気づきを通して)今後やってみたいと思った活動・企画

・情報発信の一環としてインタビューを行って記事を作成する企画も必要だと思いますが、何よりメンバーの問題意識を高め、団体内で認識を統合させていくことも大切だと思います。私は埼玉県出身で、東京の大学に通っているのですが、先日、狭い世界しか知らなかったのだと感じる出来事がありました。長崎県出身の友達(彼女の姉は東大出身)と話をしていて、九州の、特に地方では今だに親戚の集まりの場などで女性が男性をたてたり、家庭内では女性が家事を担って当たり前だと教えたりすることが慣習的に行われていると聞いて驚いたのです。そんな環境で暮らしてきた女子学生が、東大受験への意欲を持ち、浪人してまで東大に行って学ぶことに意味を見出すことができるでしょうか。私のように親の承諾を得て浪人をさせてもらい、東大を目指して、勉強を十分に応援してもらった人にはまだまだ知らない世界があると思い、恥ずかしさを感じるとともに、しっかりと問題を知るところから始めたいという気持ちが強くなりました。具体的にはまだ考えられていませんが、実際に地方に赴いたり、年配の方や、親御さん世代の方のご意見を伺ったりして、団体内で学習の場を設け、それを社会に発信していくような企画ができればいいと思いました。(みと)