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インタビュー内容紹介

polarisの新企画 "Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜" 、第9回は、東京都出身の工学部3年生、F.M.さんにお話を伺いました。



都道府県:

東京都

名前:

F.Mさん

出身高校:

東京、中高一貫、私立

入学時の科類:

理科Ⅰ類

進学先:

工学部化学システム工学科

中学の部活:

バスケ部

高校の部活:

バスケ部

ーでは早速お話を伺っていきたいと思います。現役の時も東大を受験されていましたか?

 いいえ、現役時は京大を受験していました。

東大を目指したわけ

ーそうだったんですね!では、浪人して東大を目指そうと思った理由は何だったのでしょうか。

 実は現役の時、早稲田大学から合格をいただいていたのですが、京大に落ちたら浪人しようと考えていたので、早稲田の入学金は振り込んでいませんでした。

 私立に6年間通うより、1年浪人しても国立に通う方が経済的に負担が少ないと思っていたし、東大に受かれば一人暮らしの費用もかからないので、一浪して東大に行くのが一番良いと考え、東大志望に変えることにしました。もちろん京大に落ちて悔しかったので、浪人してさらに上を目指したいという気持ちもありました。

ー落ちてしまったことが悔しいという気持ちの面だけでなく、現実的に考えた上での選択だったのですね。ご自身で決断された時に、ご両親や周囲の反応はどうでしたか。

 両親は好きにして良いよという感じで、応援してくれました。おそらく私を勇気付けるためだったと思いますが、両親もそれぞれ浪人、留年を経験していたので、浪人か留年どっちかなら良いよと言って励ましてくれたことを覚えています(笑)

 中高ではバスケ部に所属していたのですが、そのメンバーも(中学までのメンバーも含め)9人中4人は浪人を選んだので、そこまで浪人が珍しいというわけではありませんでした。そのため、周りもどんまい!と言って背中を押してくれました。

浪人夏にまさかのピンチ到来⁇

ー周囲からの応援もありつつスタートした浪人生活ですが、やはり、1年過ごす中できついと感じる時期もあったのではないでしょうか。

 夏模試でD判定を取ってしまって、「やばい!」と思ったのに、夏休み中緊張感を保つことができず、そのまま9月を迎えてしまった時に「このままだと本当に落ちるかもしれない」と焦ったことを覚えています。あの時の恐怖は忘れられません(汗)「もう夏休みが終わってしまった…」という絶望感のようなものを感じていました。

ー夏休みが終わってしまった時に、不安や焦りを感じることは受験生なら誰しもありますよね。私自身も夏休みが明けてから、受験当日までの残り時間の少なさに恐怖を覚えた記憶があります、、

 そんな中で、秋以降しっかりと気持ちを切り替えて見事合格を勝ち取ったMさんですが、どのようにその不安を払拭することができたのでしょうか。

 人間追い詰められたらやるしかないんだと思っています。浪人にかけている時間とお金、1年分自分に投資しているのだということを思い出して奮起しました。これはピンチだと自覚してから、9月以降は気持ちを切り替えて集中できました。

ー不安になった時にいったん冷静になって、正面から現実と向き合ったということですね。メンタルの強さに恐れ入ります、、気持ちの切り替え方や秋以降の具体的な勉強法については、また後ほど伺いたいと思います。

 Mさんは現役時から志望校を変更していますが、その点でも苦労はありましたか。

 出題形式の変化などに対応することに、あまり苦労はありませんでした。

というのも、現役の夏までは東大が第一志望だったので、東大ならではの問題形式については知識がありましたし、高1から塾の東大クラスに通っていたので。むしろ、浪人期に高3で手をつけなかった過去問が余っていてラッキーという感じでした。

再び東大を目指した1年間

ーそうだったのですね、現役の時も途中までは東大志望だったと。

 はい。高1から東大専門クラスがある塾に入塾し、高3になるまで当たり前のように東大を目指していました。ですが、高3の夏にふと、私はこのまま用意されたレールを進んでいくのでいいのだろうかと疑問に思ったんです。そこで京大の方が面白そうだから挑戦してみようと考えが変わり、京大を受験するに至りました。

 ー高3夏の志望校変更から、浪人を経て再び東大志望へと、東大に導かれる運命のようなものを感じてしまいます(笑)。

 では、東大に導かれるまでの、浪人期の勉強について、もう少し具体的に伺っていきたいと思います。勉強面でどのような点が課題だったのでしょうか。

 現役の時は得意科目を強化することばかりを考えていたのですが、苦手科目が敗因だったことに気づき、浪人の1年は苦手科目に向き合うことを重視していました。また、現役時は基礎が疎かになっていて、センターで大きく失点してしまったため、基礎固めも課題でした。

 特に化学は、現役時に自分では得意だと思っていたのですが、蓋を開けてみたらセンター試験で点数が取れなかったことが衝撃でした。そのため、浪人の1年間は教科書レベルの基礎に立ち返って演習を何度も繰り返しました。

 また、英語が一番の苦手科目でしたが、最低限合格ラインを取れるよう、ゴールから逆算して計画を立てていました。大問ごとに必要となる点数を設定し、絶対にそれを下回ることがないよう、秋以降は要約対策、英作文対策などに分けて仕上げていきました。

 ー東大入試は基礎・基本が大事とよく言われますが、その言葉通り、基本に立ち返る勉強をされていたんですね。

 課題が明確であったとしても、モチベーションがどうしても下がってしまうような時はどのように対処していましたか。

 1年間勉強を続ける上で、勉強に気持ちが入らない時ももちろんありました。そのような時でも勉強を継続できるように、勉強の習慣づけを意識していました。幸い予備校で友達を作ることもでき、校舎に通うことが辛いと思ったことはなかったので、毎日自習室にいる時間を決めて、それが習慣になるまで繰り返しました。

 授業がない日は毎朝9時から21時まで自習室で勉強することを自分のなかでルール化して必ず守ることで、あとは自習室に入ってしまえば周りも勉強しているので、自然と勉強を続けることができるようになりました。

浪人を通して得られたもの

ー受験勉強は長期戦なので、勉強の習慣化というのはとても大事ですね。

 お話に伺ったように、勉強面やメンタル面で様々な試行錯誤を重ねながら1年を過ごされたと思います。大学に入ってから、その経験が今につながっているなと感じる場面はありましたか。

 はい。まず、浪人期に目標に向かって長時間の勉強を続けたことで、勉強を習慣づけられたことは大きな財産だと思います。最終的に目標を達成できたので、習慣づけて地道に取り組めば、自分でも大きな目標が達成できるのだという自信にもつながりました。

 また、浪人の秋にさすがにこのままではやばいぞと感じた時に、勉強方法を自分で考え出し、実践した経験は、現在取り組んでいるプログラミングの勉強などにも活きていると感じています。勉強の習慣とあわせて、自分なりの独学の方法が身につきました。

 最後に、精神面で得たものも大きいと思います。現役時の不合格はこれまでで一番大きな挫折経験でしたが、それを成功体験へと変えられたことで、精神的に強くなったと思います。「追い詰められた時がいちばんの頑張りどき」と部活の顧問から言われたことがありますが、追い込まれてもめげることなく、むしろ自分を追い込むことを楽しんで最後までやりきるというメンタルが強くなったと思います。

ー最後に受験生に向けたメッセージをお願いします

 浪人生に対して。挫折経験から這い上がることができれば、それは自分の人生にとってとてもプラスになるはずです。合格できれば全て良い経験になると信じて頑張って欲しいなと思います。現役生に対しては、自分の弱点を見つめる勇気を持って、現実から目を背けずに最後まで頑張って欲しいです。

ー浪人期夏模試で想定外の結果をとってしまったことさえも、笑顔で語ってくれたMさん。「苦しい時にこそ自分は成長できる」そう信じて前に進み続けることに彼女の成功の秘訣を見た気がします。

 この記事を読んだ受験生の皆さんにおかれましても、Mさんのようなタフさとしなやかさでもって、コロナ禍での不安が多い受験生活をなんとか乗り切って欲しいと願うばかりです。