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インタビュー内容紹介

polarisの新企画 "Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜" 、第五回は教育学部3年のT.K.さんにお話を伺いました。



都道府県:

東京都

名前:

T.K.さん

出身高校:

都内・中高一貫・私立

入学時の科類:

文科三類

進学先:

教育学部比較教育社会学コース

現役、浪人時代の受験

ー現役の時にも東大を受験されたんですか?

現役の時も文科3類を受験しました。他には早稲田と慶応と ICU(国際基督教大学)と、結構受験してました。

ー第一志望は東大で、他の大学はどうやって決められましたか?

元々東大を志望していた理由として進学選択制度があるのが結構大きくて、ICU も教養学部があって幅広く学んでから専攻を決めていく方針をとっていたので東大に似てるなと思い、第二志望はICUにしました。

独特なモチベーション維持?

ー東大が駄目だったら浪人するということは受験前から決められてましたか?

受験の前はそうだったんですけど、いざ東大落ちると滑り止めのところでもいいかなという気持ちが芽生えて、実は浪人するかどうかはとても迷いました。
現役の時、世界史の20行の記述を間違えて22行書いてしまい、答案回収の時にそのことに気づいて、かなり動揺したまま英語の試験を受けたんです。そして不合格になって、点数開示を見たら合格点まで5点足りませんでした。もしあの時ちゃんと20行で書いて、冷静な気持ちで英語を受けていたら、受かってたんじゃないかなと思ってしまいました。
あと5点って微妙なんですよね……。5点のためにもう1年やるのかっていう気持ちと、5点だったらもう1年やれば受かるかもしれないよねっていう2つの気持ちがあって、かつ浪人なんてかっこ悪いしというのがあって、毎日毎日浪人するかどうか迷ってました。

ーそうなんですか。その中で浪人を決めた決め手というのは何だったんですか?

結局は周りの人の影響が大きかったなと思います。自分では周りのみんなが大学生になっている中浪人するなんてかっこ悪いなって正直思ってしまって迷ったんですけど、仲良い友達も「東大に落ちて浪人して頑張る」って言っていたり、親も「せっかくなら浪人してもう1回挑戦してみたら」って勧めてくれたので、周りの人の言葉で浪人しようかなっていう気になりましたね。

ー周囲の人が浪人に理解ある感じだったんですね。

そうでしたね。

ー浪人をした際は予備校などに通われてたんですか?

河合本郷という、東大を目指して浪人するなら結構有名なところに通ってました。

ー高校までと予備校で勉強面での違いはありましたか?

高校の時は行事とかいろいろ勉強以外にもやることがあったと思うんですけど、予備校では本当に勉強に集中できたし、周りも全員浪人という同じ境遇の人達だったから仲間と励まし合って頑張れるのがよかったと思います。

ー予備校でも高校と同じように友達はできましたか?

予備校で出会った友達はすごい今でも大事だなって思っていて、みんなで将来の話とかして盛り上がったりして、深い話をたくさんできて良かったなと思います。

浪人生活で受けた影響とは?

ー浪人の時期の経験を通じて、将来への考え方の変化とかはありましたか?

私の友達が「国際協力・国際開発などに携わりたい」と言ってて、私は国際系には興味なかったし、大学入っても留学とかはどうなんだろうみたいな感じだったんですけど、そういう自分と全然違う考えを持つ友達もいたおかげで、自分も大学入ったらちょっと海外とかも見られたらいいなっていう風に思えるようになったのはありますね。

ー結構その1年間で勉強面以外でも刺激を受けることが。

できた感じはしますね。

ー友達以外からも何か影響を受けたことはありますか?

予備校の時に教わってた世界史の先生が博識な方で授業もとても面白くて、その中で、「国を変えていこうと思ったらまずはやっぱり教育が大事になってくるんですよね」っていう話がすごく私の心に残っていて、やっぱり教育って社会の中でもとても大事な部分だから、その教育の理論について学べたら面白そうだなと思ったことが教育に興味を持てたきっかけだったと思います。あと、予備校の先生が大学に入ったらこういう本読んだらいいよと教えてくれることもあって、そういうのは予備校行ってて良かった面の一つなのかな。

ー高校までとはまた違う、素敵な先生に出会えることもあるんですね。

ーでは、浪人の1年間のモチベーションの保ち方に何かコツとかはありましたか?

今までの話の続きみたいになるんですけど、本当に友達の存在がすごく大きくて、「やる気ないんだよね」って言って友達に励ましてもらったり、不安を共有したりとか、友達と話すことがストレス解消にもなりました。あとは勉強法を共有してより良い勉強法を考えることができたので、勉強面でも友達と話すことがモチベーションにつながったように思います。でも馴れ合わないことも同時に大事で、友達と喋りすぎて休憩時間長く取っちゃったとか、たまにだったらいいかもしれないけどよくないと思っていて、高め合えるような友達をちゃんと作ることが大事だなって思います。

ーその1年を無駄にしないように。

高校と比べて自由になって、授業もサボろうと思えばサボれちゃうんですよね。でも特に浪人して予備校に通ってるならお金も出してもらってるわけだから、浪人するって決めたらそれは貴重な経験だってことはちゃんと意識したほうがいいと思います。

ー友達の存在も大きいんですね。

今、polarisもStudyplusのアカウントを持っていると思うんですけど、私も浪人の時に使っていました。それで友達の勉強時間などを見て、自分ももっと頑張らなきゃと思うことができて、友達は励まし合う仲間であり、ライバルでもあったなと思います。そういう意味でも、友達から刺激をもらってモチベーションアップさせていたかなと。

ー同じ目標を持つ仲間と出会えるのが予備校のメリットなんですね。(ちなみにpolarisは「polaris(旧 東京大学女子キャン運営委員会)」という名前でStudyplusをしています!日々メンバーが勉強記録をつけているので、よかったらチェックしてみてください!)

浪人生活の辛さとは?

ー1年の中で1番しんどかったこととかしんどかった時期ってありましたか?

もちろん直前期も不安に襲われてつらかったんですけど、実は一番つらかったのは4月だったかもしれないです。出身高校が毎年50人ぐらいは現役で東大に受かってて、SNS で楽しい東大生活を送ってるのが目に入ってきちゃって、それなのに自分は今予備校で勉強してみんなと全然違う生活送っていてつらいなと思う時期がありました。なので、実は4月が大学に現役で行った子と自分とを比べて一番辛い時期だったなと思います。

ーその中でも浪人の意思を貫くのは結構大変だったんですね。

そうなんです。でもそれも予備校の友達に話すと、「分かるー!」って反応をくれて少し気が楽になりました。とりあえず友達と話して紛らわせつつ勉強をしていたんだと思います。

ー浪人の時でもSNSとかされてたんですか?

4月で懲りてやめました(笑)。Twitterのアカウントも消して、ほとんどSNSはStudyplusぐらいしかやってなかったように思います。

ーやっぱり接触を断つみたいな。

そうそう。比べちゃうから、やっぱり自分のことに集中しようと思って。逆に大学に入った子とSNSでつながってイメージを膨らませていた友達もいるけど、結構人と比べて落ち込んじゃうっていう人はSNS断ちした方が精神衛生上良い気がします。浪人中は自分に合ったSNSとの付き合い方を見つけるのが特に大事ですね。

東大に入ってからの生活

ーでは東大に受かってからの話を聞いていきたいと思うんですけど、一緒に受験された友達も結構合格されたんですか?

結構受かってて、大学入ってからもキャンパスで遭遇することが多かったです。東大入ってからも知り合いが多かったのは心強かったですね。

ー東大入ってから、地方で浪人して東大に合格された女子に会ったこととかありますか?

私のクラスに地方から来た女の子が結構いました。しかも、地方で浪人して東大来たっていう子もいましたね。自分は出身高校も東大を目指す人が多かったし、浪人してさらに東大に知り合いが多いという状況だったので、そう考えるとそれまではあまり自覚していなかったのですが、自分はすごく恵まれていたんだなということを実感しました。そういうことがpolarisに入ったきっかけだったりもするんですけど、環境の違いというのを考えさせられましたね。

ー東大でも浪人を経験した女子には結構出会うっていうことですね。

そうですね、クラスでも浪人している子はいたし、サークルでも浪人してる子達は結構いて、それはそれでなんか浪人話で盛り上がったりとかそういうことはありましたね。

ー東大で浪人ということはそんなにネガティブに働くことではないと。

浪人したからあーみたいなことはそんなになかったと思います。

ー逆に話が盛り上がったり。

そうそう話のネタになる(笑)。

ー先ほど東大の進学選択制度が魅力的だと話されていて、今は教育学部の比較教育社会学コースに所属されているとのことですが、東大に入ってから志望を決めるまでにはどういう過程がありましたか?

元々、東大に入る前から文学部とか教育学部あたりに漠然とした興味があって、前期教養学部で文学部に近い日本の文学作品の読み方を習う授業だとか、教育系は教育の国際比較の授業だとか、結構いろんな授業を受けました。授業を通して専攻は決めようと思ってて、その結果教育系の授業が1番学んでて楽しいなと思ったので、教育学部にしました。その中でも教育学部はいくつかコースがあって、私は比較教育社会学コースと教育実践・政策学コースで悩みました。教育と社会の関わりに興味があって、両方ともそれを学べるようなコースではあったんですけど、比較教育社会学コースは教育社会学調査実習という、パンフレットに「日本一の調査実習」とも称される充実した調査実習を体験できるので、せっかくならその社会を調査できるスキルを身につけたいなと思って比較教育社会学コースに進学しました。

ー前期教養学部の1年半を通して悩み抜かれて決められたという感じなんですね。

とても悩みました。

ー進学選択制度を存分に活用されたんですね。

自分が日頃の小さな選択から優柔不断で、大学の専攻なんてなおさら決めるの難しいから、そんな私にぴったりの東大って感じでした(笑)。大学で学ぶ内容は高校の時にはなかなか想像できないと思うから、こうやって大学の学問に触れてから決められた方がいいよなーって思います。色んな所で広まればいいのにな。

ー大学生活を経験された上で浪人の1年間が強みになったことはありますか?

努力が苦じゃなくなるということですかね。現役の時は正直努力量が足りなくて落ちた感じだったんですけど、浪人の時はそれを踏まえて努力をたくさんしようと思って勉強時間を最大限にするように過ごしていました。その結果ちゃんと目標を達成出来たというのがあったから、浪人したおかげできちんと努力できる自分になれたなと思えました。努力するにもある意味スキルが必要というか。大学に入ってからやること多いじゃないですか。サークルもそうだし、課題も結構大変だったりするから、そういうのをきちんとやり抜こうっていう風にできたのは浪人の経験のおかげでもあるのかなと思います。 あの生活耐えられたんだからやればできるはず!みたいなところがあるかな。

ーその1年間が強みになってることがあるんですね。

だらけそうな時もたまに浪人した時の事を思い出すと、あの時の自分に申し訳なくないように頑張ろうって思えるので、そういう効果もあるような気がします。

ー過去の自分に励まされてるんですね。

あの時頑張ったんだからみたいな。

後輩へのメッセージ

ーでは最後に女子高校生や今浪人されている女子浪人生の皆さんにメッセージをお願いします。

浪人って言うとかっこ悪いとか大変そうとかそういうイメージ持ってる人多いと思ってて、それは私も浪人するか決めるとき本当に思ってたんですけど、でも後の自分が後悔しないような選択をするっていうのがすごく大事だと思います。私が浪人すると決めたのは周りの人の影響も大きかったのですが、もし私がそのまま滑り止めの大学に入ったら、一生あの時浪人してたらどうだったんだろうという気持ちが残るとは思っていました。もう1回だけ挑戦しようと決めて挑戦したら、たとえ落ちたとしてもそのあと後悔しないでいられたと思うので、もう1回挑戦して後悔を残さないようにする、というのは大事なんじゃないかなと思います。それから、浪人の1年が決して無駄にならないっていうことも伝えたいです。何度も言ってるようにいい仲間とも出会えたし、努力する姿勢だとか今後に活かせるようなスキルだって身につけられたし、人によっては浪人の1年で将来について深く考えることができる人もいて、浪人の1年は無駄にならないと思います。

ーありがとうございます。

浪人かっこ悪いみたいなイメージだけで諦めちゃうのはすごいもったいないっていうことは本当に伝えたいです。

ーそんなにネガティブにとらえすぎずに。

今考えれば浪人の時のあの生活も、友達と励ましあったりとか、あれはあれで楽しかったなと思います。勉強は人によっては辛いのかもしれないけど、言うほど浪人の生活は辛いことだけではなかったように感じます。あと、浪人したら大学入った後にみんなと歳の差あるからそれで浮いたりしないかなという些細な心配もしてたんですけど、全然そんなことはありませんでした。浪人中にしろ、大学入ってからにしろ、浪人したからマイナスになることってそんなにないんじゃないかな、と私は思います。