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インタビュー内容紹介

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第20回は文科3類2年のK.Nさんにお話を伺いました。

都道府県:

富山県

名前:

K.N

学部:

文科3類

学年:

2年

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第20回は文科3類2年のK.Nさんにお話を伺いました。

勉強がアイデンティティだった高校時代

ーはじめに、現役時の受験について教えてください。

第一志望は東大で、文3を受験しました。併願は、練習試合のつもりで同志社大学を受けました。地方の高校あるあるかもしれないのですが、そこそこ成績がいいと担任の先生に東大に行ったらどうかと勧められ、周りにも勧められている子が多かったので、その流れに乗せられて、私も東大を志望しました。

ーなるほど。初めから成績がよかったということは高校時代は勉強をメインで頑張られていたんですか?

そうですね。一応部活も入っていたんですけど、週一とかしかなかったので、高1のときから、受験勉強がメインでしたね。家から高校が遠かったので部活をゴリゴリやろうとは思いませんでした。

ー高1から受験勉強なんてモチベーションが高いですね!きっかけとかはあるんですか?

どこからですかね...家系的には東大に行く感じではなかったのですが、いとこが東大に行って、もともと負けず嫌いだったので、私も行ってやろうっていう感じだったと思います。

ーそうなんですね。勉強するときに気をつけていたことはありますか?

とにかく時間をかけることを意識していました。自分が要領が悪く、中学生の時から人より時間をかけないと覚えられないタイプだとわかっていたので。一年生のときから課題プラスアルファで追い込んで勉強していました。

ーやる気が無くなることはありませんでしたか?

自分にとって勉強はアイデンティティーと化していたので、高校時代にモチベーションが下がることはほとんどありませんでした。運動ができるとか、料理が得意とか、ファッションセンスがいいとか、そういう特技が自分にはなかったので、逆に勉強でしか周りより上に立てないと思っていました。

ー順調そうに聞こえますが、うまくいかなかったことはありますか?

文系科目はそれなりに順調に行っていたかなという感じだったのですが、数学で伸び悩んでしまいました。テストとか模試になるといつも解けなくて..….。現役のときは結局数学ができないまま当日を迎えてしまい、心の中でも多分できないなと思っていました。実力も足りていなかったのですが、精神的にもうまくいきませんでした。

メンタルを鍛えられた浪人時代

ー差し支えなければ現役時の結果を教えていただけますか...?

不合格ランク(注1)はDとかでした。不合格の人はすぐ点数の通知が来るのですが、それを見てびっくりしました。こんなに点数足りなかったんだ、結構頑張ったとのにな、とは思いました。

注1:不合格ランクとは、不合格者の中でどの位置にいるのかがわかるランクのことです。合格に近い方からA,B,...と300人ずつ区切られており、成績開示票で確認することができます。

ー浪人は迷いましたか?

現役のときに、落ちたら浪人すると決めていました。両親も私の頑張りを見てくれていて、一回だけならいいよと言ってくれていました。

ー浪人を決めるときに不安はありませんでしたか?

浪人を決意した時より、浪人生活中に不安を感じたと思います。たまに息抜きで映画を見に行ったのですが、券を買う時に高校生でも大学生でもなく、自分は何も社会的身分を持っていないんだなという疎外感を感じました。そういう時に「自分どうなるんだろう」と思いましたね。

ー浪人しているときに一番辛かったことはなんですか?

高校時代よりも家族といる時間が少しだけ増えて、基本的には味方でいてくれましたが、揉めたことがありました。成績が伸び悩んだとき、現役で合格した子たちがSNSで遊びに行った写真を上げているのを見て、自分も適当なところに行っておけばよかったと、本気では思っていなかったけど口にしてしまった時に、そんなこと言うなら浪人しなければよかったじゃんと言われてしまいました。勉強自体が苦痛ということはあまりなかったので、浪人に対する価値観の、親とのすれ違いみたいなのが個人的にはメンタルにきました。

ーモチベーションを保つために工夫していたことがあれば教えてください。

大学生活に対するモチベーションというよりは疲れすぎないことを意識していました。月に一度予備校の休講日みたいなのがあって、その日は絶対に休むと決めてご褒美デーにしていました。映画を見に行ったり、母とアウトレットに行って服を買いに行ったりしました。

ー浪人の時に、現役の時とは違って意識したことがあれば教えてください。

効率性と休むことです。現役のときはとにかく時間をかけていたのですが、それで体を壊しかけたことがあって、それはあまりよくないなと思いました。浪人の時は月に一度ご褒美デーを作るとか、日曜日はちょっと緩めにするとか、そういう感じでやりました。現役で合格した同じ学科の友達がどういう風に合格したのかを考えた時に、逆算して計画を立てて取捨選択ができていたのかなと気がついたので、それを真似して、本当にやらなければいけないことだけをやるようにしました。

ーそれはうまくいきましたか?

そうですね、多分うまく行ったと思います。二次試験前に予備校の先生からもこのままだたらいけるでしょうと言っていただいて、心強かったです。

ー合格した時はどんな気持ちでしたか?

弟が二人いるんですけど、一人で合格発表をみたあとに、受かったよ〜と言いに行ったらすごく喜んでくれました。その時、普段は弟も無関心なように見えて、けっこう自分のことを気遣ってくれてたんだなと思いました。中学3年のときからずっと勉強しかしてなくて、家族旅行とかも全然行かずに迷惑かけたり、協力してもらったりしていたことも多かったので、その恩返しではないですけど、やっといい報告ができてよかったなと思いました。

ー浪人して成長したと感じるところはありますか?

ポジティブシンキングですかね笑!やっぱり勉強の成績自体を伸ばした一年というよりは、メンタルをすごく鍛えられた一年かなと思っています。今から考えても浪人して本当によかったかと聞かれると答えが出せなくて。一年は結構大きいので、簡単には浪人した方がいいとは言えないと思います。でもメンタル面では、いい意味で楽観的に考えられるようになりました。もともとネガティブなところがあったので、メンタル的に楽に生きられるようになったかなと思います。

浪人で得た行動力

ー将来の夢はなんですか。

教育学部教育実践政策学コースに内定したのですが、学校教育というよりは学校教育プラスアルファ、みたいなプログラムを作れたらいいなと思っています。高校時代の経験から、学生に体験活動をしてもらうとか、キャリア教育とか、座学みたいな勉強以外にも学べることがたくさんあると感じています。それか、テレビの教育番組を作るプロデューサーですね。

ー「高校での経験」というと?

高校で、進学用の学科ではあるのですが、プラスで体験活動をできる学科に入っていたので、普通の座学とは違った勉強が、教育の一環としてすごく自分にいい影響を与えてくれたと思います。SGH(注2)の指定校だったので、他の県のSGH指定校と合同の合宿をしたり、課題研究といってテーマを決めて発表したりしました。2年生のときは比較的忙しかったのですが、充実していて楽しかったです。

注2:SGH専用ホームページはこちら

ーなるほど。何か頑張っていることはありますか?

ゼミのzoom座談会のときにいらしていたOGの方が、たまたまNHKの教育番組の制作に携わっている方で、連絡先を無理矢理いただいて連絡を取りました笑!zoomでお話を聞きたいですと伺ったところ、その方がとても優しくて、NHKに呼んでくださったんです!スタジオを見せてくださって、就活の相談にも乗ってくださいました。

ー積極的ですごいですね!

それも浪人したからで、一回浪人したから他は何でも、どうにかなるだろうと考えられるようになりました。でも逆にそれで失敗したこともありました。

ーどんな失敗だったのですか?

2つイベントサークルに入っていたのですが、コロナ禍もあって会議に来る人もだんだん限られてきてしまい、みんなのモチベーションも揃わなくなってしまいました。両方の団体で主要メンバーみたいに動いていたので、忙しすぎて辛くなってしまったんです。2年生の春頃にどちらも幽霊部員みたいになってしまって、勉強もうまく行かなくなってしまって、自分の存在価値がわからないみたいな状態にまでなってしまって...。少し早めに就活しようと思って就活用のマッチングアプリを入れた結果、怪しい団体に引っかかりそうになりました汗!

ーそれは大変でしたね...!それでは、今頑張っていることはありますか?

サークルを辞める前まではサークル活動をメインにやっていたのですが、今はちょっと違うかなと思います。抽象的ですが、自分がその時やりたいことをやる、ということを頑張っています。失敗もまたいい経験だと思います。

東大に入って

ー大学に入ってから浪人経験のある女子は周りにいますか?

同じクラスに一人います。やっぱり親近感があって、その子に話しかけにいきましたね。

ークラスの女子は何人でしたか?

32人中13人でした。文3フランス語なので多い方だと思います。

ー東大に入ってよかったところはありますか?

クオリティーの高い授業を受けられるのもそうですが、一番大きいと思っているのはやっぱり、周りの人です。もちろん能力的にすごい人もいるし、面白い人とか、多才な人とか、そういう人は普通に生活していたらなかなか出会えないかなと思います。それだけでなく、人と接するときに色々なこと考えてる人とか教養がある人とかすごい人がいっぱい集まっていると思います。東大に入ろうと思ったきっかけも尊敬できる学生が多いという印象があったので、期待どおりやっぱりそこが魅力の一つだと思います。

ー東大を目指す女子高校生、女子浪人生にメッセージをお願いします!

サークルに熱中していたときもそうですし、クラスなどでもそうですが、やっぱり東大に来たら、周りの人に恵まれている環境で学生生活を送れることは間違いありません。その良さがあるからこそ、今目指している人のことは応援したいです。浪人している方に対しては、苦しい時期は誰にでも来るとは思っていますが、自分の健康を第一に、心を休めることは忘れないでください。いろいろ考えることはあると思いますが、体を壊してしまっては元も子もありません。とにかく、自分を大事にしてください。

ーありがとうございました!