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インタビュー内容紹介

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第17回は、栃木県出身の文科3類1年生、あいりさんにお話を伺いました。



都道府県:

栃木県

名前:

あいり

学部:

文科三類

学年:

1年

高校の部活:

チアリーディング部

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第17回は文科3類1年のあいりさんにお話を伺いました。

東大に再チャレンジした理由

ーそれでは早速お話を聞いていきたいと思います。現役時代も東大志望だったのですか?

はい。私の高校は志望校の幅が広く、私は高校でチア部に入っていたのですが、周りにはスポーツに打ち込む人も多く、そのような人たちが多く所属しているクラスもありました。なので私のような東大志望は私含めて2人だけでした。ですが、先生からの理解は大きく、部活より授業を優先することにも寛容でした。

ーどうして東大を志望したのですか?

高校1、2年生のときは漠然と一橋大学でいいかな、と。成績が上位で先生からの東大受験の勧めがありましたが、学校の名誉のためだろうという反抗心から、興味を持てずにいました。しかし駿台主催の箱根で開かれた3泊4日のセミナーに高3の春に参加して、東大生のOG・OBの人たちがカッコいいと思い、東大に憧れを感じるようになりました。

ー現役時代の成績や、受験本番はどのような感じでしたか?

模試の成績は最大C判定で、D判定などがメインでした。本番は数学が全然できなくて、リスニングも聴けず、国語ももう少し良い解答を出せたかもしれないと心残りがありました。私立も何個か併願し、後期は東北大に出願していました。

ー東大が不合格だったら浪人することは決めていましたか?

どっちとも決めてませんでした。落ちたら落ちたで考えようみたいな。浪人をすることは落ちたあと家族と相談して決めました。

ーとすると、周囲は積極的に浪人を勧めたのですか?

母は受かったところでいいんじゃない、という感じの一方で、父は浪人してもう一年チャレンジすることもありだと考えていたようでした。最終的には自分の判断で、浪人してもう一度東大の文科3類にチャレンジしたいという希望を伝えました。

ー周りの人で浪人する人はいましたか?

高校のクラスが成績上位の15人程度のクラスだったのですが、自分を含めて3人しか浪人していませんでした。

浪人時代の勉強

ー浪人時代の勉強の環境はどうでしたか?

予備校に通っていました。本当は駿台お茶の水などの有名な予備校や、地元のターミナル駅近くの駿台に通いたかったのですが、距離が遠く移動時間がネックだったので、近くの東進に通うことにしました。映像授業だからこそコロナなどの影響を受けず、自分のペースで勉強することができました。

ー周りに浪人仲間はいたのですか?

一応浪人のクラスのようになっているところに所属していたのですが、文理も志望校もバラバラで学習していることが全然違って、女子は3人しかいなかったので、たまに一緒にお昼ご飯を食べる程度でした。だから周りに東大志望の浪人仲間はいませんでした。

ー心細かったですか?

たまに寂しくなるときはありました。現役のときは、もう一人部活が一緒で同じ志望校だった子がいたので、切磋琢磨して頑張っていたのですが、浪人のときは一人の戦いになってしまいました。

ー家族とはどのような関りがありましたか?

家族には勉強の相談はあまりしませんでしたが、模試の結果を見てもらったり、私立や後期などを含めた最終的な受験計画を相談したりしていました。

ー現役の時と比べて成績はどうでしたか?

現役の頃よりは高かった気がします(笑)ただ、勉強法を変えたわけではなく、現役時の不合格のランクがAだった(注1)ので、そのままもう一年その成績を緩やかに伸ばして合格にたどり着いた感じです。高3の春から、河合塾の映像授業を見ていたので、浪人時代も東進の映像授業を見て勉強するスタイルを貫いていました。

注1:東大は合格発表後、不合格者には郵送で不合格通知とともに、全不合格者のなかでどのあたりの成績をとっていたかが告知される。

ー映像授業ってつまらないイメージがあるのですが…

私には結構合っていた気がします。倍速で見られるし、メモを取るときも一時停止できるので、自分の勉強のペースに合わせて授業のペースも変えられるのが便利でした。

SNSでモチベーション維持

ー一日中勉強していて辛かったこと、しんどかったことってありますか?

夏休みまでは心の余裕があったのですが、秋ごろからしんどくなってきて……。映像授業だからこそやろうと思えばいくらでもコマを増やせるので、これもあれも取りたいってなったのですが、時間も限られているし毎月の模試の復習も負担になって、キャパオーバーになって焦っていた時期でした。週1くらいで病み日みたいなのがあって(笑)ほぼ毎日朝から夜まで塾の自習室に行っていたので、単調な日々の繰り返しが嫌になってしまって。自習室にスマホを置いておくスペースがあったのですが、スマホの誘惑に耐えきれず持ち出していじってしまうことがありました。スマホを使っていた時間にもっと勉強できたはずだったという自責の念に苦しめられました。

ーそんな中でも、モチベの保ち方はありましたか?

周りに東大志望がいなかったので、TwitterやStudyplus(注2)などのSNSで、東大志望の人たちがあげている勉強時間や模試の結果などをみてモチベーションにつなげていました。あとはやることを書きだしたり、よかったときの模試を見て自信をつけたり、付箋に気合の入る言葉を書いて貼りまくったりしていました(笑)

注2:勉強記録を記録したりフォロワーと互いに閲覧しあったりするアプリ。polarisのアカウントはこちら

ー浪人してよかったとか、強みになったことはありますか?

些細なことで動じなくなりました。落ちたという大きな経験をしてから、一年間自分を見つめなおすことができ、落ち込んだりすることもよくありましたが、立ち直りが早くなりました!

ー受験経験を経て成長したことはありますか?

粘り強くなった気がします!根性はつきました。精神的に強くなりました。

東大入学後

ー東大に入ってよかったことはありますか?

応援してくれた家族や友達や先生に報告出来て、とても喜んでもらえたのがまず一番うれしかったことです。そして、東大に入って、周りのすごい人たちから刺激をもらえてよかったです。

ー周りに浪人経験のある女子はいますか?

5人くらい知っています。でも河合本郷とか、都内の有名な予備校で勉強していた人が多い印象で、地方出身の女子浪人経験者はあまり知りません。

ー将来に向けて目標や夢はありますか?

将来の夢はあまり決まってなくて、進学選択も迷っているのですが、高校の頃から漠然と社会学に興味があって、東大の社会Ⅰの授業を聴いて面白いと思い、文学部の社会学科などに興味があります。高校の頃から将来の目標が定まっていなかったので、東大に入ってから前期課程を経て専攻を決められるのは良い制度だなと思います。

ー東大の女子比率が低いことや、女子に浪人を勧めない風潮などを変えていくにはどうすれば良いと思いますか?

私が東大のセミナーでカッコいい女子の先輩を見て、憧れて東大を目指したように、polarisの活動などで、東大に女子がいるということ、東大で女子が楽しんでいることをもっと伝えていけば、憧れて目指してくれる人が増えるのではないでしょうか。意外と目指せるんだよ、ということを知ってもらい、あとは本人が強い意志を持っていれば周りも反対することはないと思います。女子が浪人することに対しては、一番華のある時期の貴重な一年を浪人で潰すなんて、という意見も確かにあると思います。私も入る前は浪人のカミングアウトって難しいのではないかと思っていましたが、大学に入ってみると、浪人も現役もあまり変わらず仲良くなれるし、むしろ浪人経験者同士の謎の結束感もあったりします(笑)なので、浪人すると大学で現役の人たちと壁ができるのではないか、という心配は全く要らないと思います。

ー女子高校生や女子浪人生対してのメッセージをお願いします。

地方で周りに東大志望が少ない人は、SNSをうまく利用してモチベを保つことをお勧めします。受験生活は辛いと思いますが、1、2年頑張れば大学はとても楽しいので、諦めずに勉強頑張って下さい!

ー詳しくお話を聞かせてくださりありがとうございました。

~インタビューを終えて~

一度不合格になったという体験を乗り超えて、地方でも自分のペースでこつこつと勉強してきた粘り強さが、今のあいりさんの土台になっていることが伝わってきました。また、SNSの利用が、地方で周りに東大志望の友達が少ない人にとってはモチベーションになっていたという話が印象的でした。みなさんもあいりさんの体験談を参考にしてみてください!