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インタビュー内容紹介

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第16回は、埼玉県出身の文科1類1年生、まのあさんにお話を伺いました。



都道府県:

埼玉県

名前:

まのあ

出身高校:

浦和第一女子高校(公立、非中高一貫)

学部:

文科一類

学年:

1年

高校の部活:

吹奏楽部

中学の部活:

吹奏楽部

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第16回は文科1類1年のまのあさんにお話を伺いました。

志望校のレベルを下げて力を出し切れなかった現役時代

ーはじめに、現役時の受験について教えてください。

 親の希望で実家から通える国立大学で、自分の行きたい法学部がある大学を探したところ、東大か一橋の二択になりました。高校一年生から高二の夏くらいまでは東大を志望していたのですが、高校での成績が特別良いわけでもなく、周りにも東大は無理だからという理由で一橋に志望を変える子が多かったので、自分も一橋を志望することを考え始めました。実際に一橋を見に行って、雰囲気がかっこよくて「家からも近いから一橋でもいいかな」と思い、受験を決めました。

ー現役時は一橋を受験したんですね!何が敗因だったと思いますか...?

 一橋に出願して、自分では納得して決めたつもりだったのですが、クラスでも部活でも一番というほど仲の良かった友達が、東大受験に向けて勉強する姿を間近で見て、引けを感じました。やっぱり私は東大に行けないからという消極的な理由で一橋を受ける人間なんだと思ってしまい、最後の方は一橋に対していまいち気が乗らなくて、モチベーションが下がってしまいました。あとは夏休みに詰め込んだ計画を立ててしまい、その結果体調を崩して計画倒れになってしまったのも秋以降に響いてしまったので、敗因の一つだと思います。

リベンジの浪人

ーなぜ浪人を決めたのでしょうか。

 親が浪人を経験していたため、現役時から浪人しても良いよと言ってくれていました。一橋に加えて三つの私立大学を併願し、第二志望までは合格したら現役で進学するつもりでした。しかし結果は第三志望と第四志望のみ合格で、ほぼ自動的にもう一年ということになりました。

ー志望校を東大に変えたのはなぜですか?

 現役の時と同じモチベーションでもう一回一橋を受験しても同じ結果になると思いました。また、身近な友達が現役で合格したため、同じ大学に行ってみたいと思いました。二次試験で必要な社会が一科目増えるので大変ですが、東大の二次試験で使える地理を現役時にセンター試験(現在の共通テスト)で使っていたため、見込みが立ちました。現役時に足を引っ張った数学に関しては、東大の方が一橋よりも解きやすかったのでそれも合わせて東大を受験しよう、と思いました。

コロナ禍で波乱万丈の浪人生活

ー浪人してて周りに東大を目指している子はいましたか?

 大手予備校に通ったのですが東京の校舎とは違って地元の校舎では人数が少なく、京大と合同で文理それぞれ10人ずつくらいのクラスでした。同じ高校から東大を目指す人もいなくて、女子は私一人だけでした。最初はきつかったのですが、逆に女子がいない環境で開き直って、自分から男の子に話しかけに行きました。その中に都内の難関私立出身の男の子がいて、その方が東大入試に詳しかったので結構助けられました。

ー浪人の時期で一番しんどかったのはいつですか。

 常にしんどかったのですが、やっぱり4月〜6月が一番だと思います。ただでさえ浪人することになったショックが大きいのに、コロナ禍で家にいなければならず、人と話す機会も減って、映像授業を溜めてしまいました。一日中何も手につかなくて、本当に辛かったです。

ーでは夏以降にエンジンをかけたのですか?

 夏の東大型の模試の前に、出題形式くらいは見るべきだと思いますが、東大の過去問を全く見たことがない状態で受けてしまったんです。そうしたら結果が意外とよくて、自分でも行けるんじゃないかと思ってモチベーションを持ち直しました。夏休みに一学期の遅れを取り戻して、なんとか普通の人に追いつけたって感じです。

ー国立後期の受験は考えていましたか?

 一橋の経済に出そうと思っていたのですが、もともと苦手だった共通テストの本番で大失敗してしまいました。お茶の水も迷って結局出しませんでした。

ー共通テストからの切り替えが大変ではありませんでしたか?

 一月の下旬は朝から晩までずっと泣いていました。本当に辛くて...。東大受けるくらいなら年明けから対策して9割取れて当たり前だと聞いていたので、あまり対策をしていませんでした。クラスのみんなも対策している気配がなかったのですが、みんな私よりもよくて、自分が悪いとわかっていてもメンタルにきましたね。二月になってもう吹っ切ろうと思って、吹っ切れたと思います。

ーそこで志望を下げずに頑張れたのはすごいですね。

 最後まで迷ったのですが、一橋は東大よりも共通テストの比重が高いので、一橋に志望を変えるのは不利だと思いました。逆に一番有利なのは東大だから、と思って前向きになりました。あとは、親がダメだったら二浪してもいいよと言ってくれたのが大きかったですね。実際に二浪するかは別として逃げ道を作ってくれたのは心の支えになりました。ここで一橋に出しても去年の二の舞だと思って決心できました。

自分らしく努力を続けた一年間

ー1日(授業のある平日)の勉強スケジュールを教えてください。

 校舎が8時半から開いているので最初は8時半に行こうと思っていたのですが、普通に起きれなかったので、一限開始ギリギリに教室に入っていました。4時半ごろに授業がおわってから9時まで自習して、家に帰ってお風呂とご飯、11時から2時くらいまで勉強して、寝るという感じの生活でした。朝型の方がいいという話はよく聞きますし、現役で東大に受かった友達は毎日4時とか5時に起きて勉強していて、自分はダメだと思っていたのですが、それでも合格できたので夜型でも全然良いと思っています。

ーモチベーションが下がったときはどうしていましたか。

 一つは周りと話すこと。友達と話すとみんな頑張っているなと思えるしストレスの発散にもなります。自習室で行き詰まった時は受付のお姉さんやチューターさんと話していました。家族に電話して他愛のない話をすることもありました。もう一つは自分を甘やかすこと。ちょっと良いカフェに行って勉強したり、新しい服やコスメを買っておしゃれして予備校に行ったりしていました。

ー予備校の先生から影響を受けることはありましたか?

 もともとは積極的に人とコミュニケーションをとるタイプではないのですが、コロナ禍で家にいて人と話したい欲が溜まっていたので、対面授業になった瞬間に、授業を持っている全ての先生に雑談とかガンガン話しに行きました。仲良くなった先生の中に東大の文一を出ている英語の先生がいらっしゃって、その方が英語のことはもちろん、受験生の精神面とか、東大の話とか関係のない雑談まで聞いてくださって最後まで支えてもらいました。

大学で過ごす将来へ向けての日々

ー将来の夢はなんですか?

 今とても迷っています。高校まではなんとなく法曹界いいなと思っていたのですが、大学に入っていろいろ見て、一般企業とかでも良いのかなとも思っています。

ーなぜ法曹界を目指そうと思ったのですか。

 中学生くらいまでは数学系に進みたかったのですが、理科が壊滅的にできないことに気がついて考え直しました。また、私はずっと吹奏楽をやっていて、専門書には微分を使った作曲について書いてあったりと、数学と音楽は似ているところがあると思っていましたし、そういう規則的で体系立っているものが好きでした。そこで、法律にもそういう側面があるのではないかと気がつきました。そして法律の方が数学や音楽よりも人々の実社会に強く結びつくため、法律を学ぶことで世の中を俯瞰できるのでは、と中学生の時に思いました。その時から法律を生かす仕事として法曹界を目指そうと思いました。

ー将来に向けて取り組んでいることはありますか。

 一つは川人ゼミ(注1)というゼミに入っていて、社会や司法、法と人権について考えるというテーマで弁護士の方などを呼んでお話を聞いたり、模擬裁判をしたりしています。あとは、大学在学中に司法試験に合格することを視野に入れて、ダブルスクール(注2)も考えています。

注1:川人ゼミの紹介ページ(UT-BASE)

注2:資格取得を目的として別の教育機関に通うこと。

ー川人ゼミで印象に残ったお話はありますか?

 東大を出た女性の弁護士の方に子供の虐待についてお話をいただいたことが印象に残っています。子供の心理的なケアや、子供の家を作って活動されている方で、女性だからできることを強調なさっていました。法曹界は男性社会なので、そこでいかに女性が活躍するかというテーマも含まれていて興味深かったです。

女子受験生にエール

ー東大に入ってよかったところは何ですか?

 東大にはクラスがあるので、他の大学と比べて仲良くなりやすいと思います。高校までと同じように、ある程度積極性がなくても友達になれるところは本当にいいと思います。加えて、これは一橋との対比になるのですが、一橋は文系しか学部が無いのに対して、東大には理系を含めて様々な学部があります(注3)。学生の人数も、一橋は一学年千人ほどであるのに対して東大は約三千人です。規模が大きく、多様性があるのが東大の良いところだと思います。

注3:一橋大学は社会科学系の単科大学なのに対し、東京大学は総合大学と呼ばれている。

ー東大で今一番頑張っていることは何ですか?

 友達作りです!みんな顔が広くて知り合いが多いので、乗り遅れないように頑張っています。友達作りのためにバドミントンのサークルにも入りました。また、クラスの仲が良く、みんなすごい人で、本当にいいクラスだと思っています。今のクラスにいられるのも、浪人して学年が一個下がったおかげです。

ー最後に東大を目指す女子浪人生、女子高校生にメッセージをお願いします。

 東大は日本一でネームバリューもあり、怖気付いてしまうこともあると思いますが、高校の勉強をきちんと真面目にやっていれば、女子だから、や地方だから、ということに関係なく誰にでもチャンスはあると思います。悔いの残らないように頑張ってください。ぜひ東大に来てください!

ーありがとうございました!