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インタビュー内容紹介

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第15回は、埼玉県出身の理科1類1年生、みとはさんにお話を伺いました。



都道府県:

埼玉県

名前:

みとはさん

出身高校:

浦和第一女子高校(公立、非中高一貫)

学部:

理科一類

学年:

1年

高校の部活:

アナウンス部

中学の部活:

演劇部

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第15回は、埼玉県出身の理科一類、みとはさんにお話を伺いました。

部活にかけた高校時代

ーはじめに、浪人を選んだ理由について教えてください

現役時は週5で活動があるアナウンス部に入っていて、部活が忙しくて思うように勉強できませんでした。高2の冬から勉強始めなきゃ!と思ってはいたのですが、部活を中途半端にするのは嫌で、浪人の覚悟はありました。高3の9月の文化祭にも没頭し、夏休みはほぼない状態で、文化祭が終わっても盛り上がった雰囲気を引きずって勉強に切り替える事が出来ませんでした。

部活をやってる人ほど勉強に切り替えるのがうまい、と言われたりしますが、そういうわけではなさそうだな....と個人的には感じます。でも、部活をやったことに対して後悔はしていません。充実した日々でした。今振り返ると、部活しないで現役合格するのも違う気がしています。

ー浪人を決めた時の周囲の反応はどうでしたか?

 学校は浪人を勧めてくれて応援してくれました。親は心配している様子で「現役で行くものだよ」というようなことを言われたりしました。私は数学を大学でやりたいという気持ちがあったのですが、親からは「わざわざやるものではない、女子で浪人は....」というような反応でした。

 それに対して、悔しさがあったので親を説得して浪人を選びました。浪人を決めてからは親も応援し、支えてくれました。

ー東大を目指したのはいつからですか?

 初めは文系志望で大学を探していたのですが、SSH (注1)の活動で理系に興味が湧きました。そこで理系の大学を探すようになって、高校の先生から東大を勧められました。学校の成績もそれなりだったので、途中から変えることもできるから、と思って高1の秋頃、東大を目指すようになりました。

注1:SSHの説明に関してこちらをご覧ください

ー高校では東大を目指す人は結構多かったのですか?

 志望者は高校に結構いました。私の学年では、文理合わせて20人ほどが東大を目指していたと思います。高3の時点で東大理系を目指す人は10人ほどいました。実際に東大理系を受験したのは5人くらいで、現役時の受験結果を受けて志望大学を変えたりする人もいて、浪人して東大理系を受験したのは自分1人でした。文系では、私と同じ学年で浪人して東大に入った人が1人います。

コロナ禍で異例の浪人生活

ー予備校での生活について伺っていきたいと思います!予備校の雰囲気はどんな感じでしたか?

 コロナの影響で6月まではオンデマンド授業を家で受講する感じでした。予備校が再開してからも、生徒同士の会話はなるべく減らすようにというルールがあったので、友達もあまり出来ませんでした。そんな中、精神的支えになったのは、高校が同じだった友達です。

 自習なども予備校でやっていました。友達に依存しないように気をつけていて、お昼はタイミングが合えば一緒に食べるなど、自分から一定の距離を保つようにしていました。

ー浪人して一番しんどかったことはなんですか?

 一番きつかったのは、浪人を始めた最初の時期ですね。自信がなかったのもありますし、浪人に対して反対していた親に見放されたのではないかという不安もあり、前向きになれませんでした。コロナで家で勉強しないといけないのもきつかったです。

しかし、浪人生活が始まってみると淡々と過ごすだけで、途中でモチベーションが低下するとかはなかったです。予備校の対面の授業が始まってからはモチベーションが上がっていきました。

ー浪人中はどのようにモチベーションを保っていましたか?

 自宅の机の周りに自分から自分への激励メッセージを貼っていました。個人的にはすごく効果があったのでおすすめです!

ー浪人を経験して強みになったことや良かったことはなんだと思いますか?

 自分がどういうことが出来ないのか、自分の弱みの克服について考えられたことです。浪人中は、自分の弱さから目を逸らしてはいけないと考えながら自分と向き合い、貴重な経験になりました。

 勉強面での成長もあり、大学に入る前に自分に足りないものを少しでも補うことができたのは良かったと思っています。

 精神面では、高校生の延長ではなく大学生になれたことも大きかったと思います。支えてくれた家族、勉強や相談に付き合ってくれた友人、添削してくれたり相談を聞いてくれた高校や予備校の先生方への感謝の気持ちを持つ事ができ、周囲の存在に対して意識を向けることができるようになったと思います。

東大での生活・・学問が楽しい!

ーここからは東大での生活について伺っていきます。

ー東大に入ってみて、浪人経験のある女子は周りにいますか?

 特別に聞くことないはないので定かではないのですが、クラスで仲良くしている女子の友達の中ではいないような気がします。

 入学手続きで友達になった子が1人いて、浪人経験者だったときに親近感を感じたりなんてことはありました。

ー東大生活で一番頑張ってることはなんですか?

 とにかく授業が楽しくて、頑張っています!とても優秀な先生が受講生の興味に合わせた授業をしてくれます。ある授業では、授業内でグループになった学生とディスカッションを繰り返して、面白そうだと思ったものを深く調査しています。

 具体的には、「ランタノイドの単離方法を調べる」ということをやっています。原子番号57〜71の元素であるランタノイド元素では、周期表の隣り合う元素間で性質が非常に似ているため、それぞれの元素に分ける作業はとても難しいとされています。そこで、私たちはこれまで行われてきた単離法の原理や変遷を調べてランタノイド元素を単離する方法についてまとめようとしているというわけです。グループの仲間は本当に優秀な人が多くて刺激をもらっています。

ー東大に入ってよかったことはなんですか?

 優秀な人たちと関わる機会があることですね。

 あとは、数学の発展的な講義を1年生から取れるのは嬉しいです。将来、数学を深く勉強することを考えているのですが、1年生で数学をやってみて自分が将来数学を学んでいくかどうかを考えられるのは貴重な時間だと思います。なんでもやってみる自由があり、広い選択肢が用意されているのが東大らしさではないかと思います。

ー逆に東大の嫌なところはありますか?

 みんなが効率的に課題をこなしていて優秀すぎることですかね....。置いていかれる!という焦りが常にあります。そのように食らいついていく充実感を望んでいた部分もあるんですけどね...(笑)

ー最後に、東大を目指す女子高校生、女子浪人生へのメッセージをお願いします!

 浪人を迷っていたら、女子という理由で浪人を辞めないでほしいです。浪人はいろんなものが詰まった1年ですし、東大は素晴らしい環境です。可能性を捨てずに挑戦してみてください!

 今、浪人をしている人には、最後まで諦めないでと伝えたいです。毎日同じ日々に感じるかもしれないけど、向上心に不可能はない!と私は信じています。学問への意欲を忘れずに、「分かる」を「出来る」に変えていくことを積み重ねていってほしいです。

 受験生の皆さんに伝えたいのは、受験のための勉強で学ぶのは広い学問体系のほんの一部であるので、疎かにせずに謙虚に取り組むことが大切だと思います、ということです。

 皆さん、周りの言うことに流されずに自分のやりたいことを突き進んで欲しいと思っています。自分の人生なので、自分のやりたいことに取り組んでください!