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インタビュー内容紹介

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第13回は、宮崎県出身の文科3類2年生、U.K.さんにお話を伺いました。



都道府県:

神奈川県

名前:

Y.O.さん

出身高校:

都内、中高一貫、私立

学部:

工学部都市工学科

学年:

4年

"Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜"第14回は、神奈川県出身の工学部都市工学科、Y.O.さんにお話を伺いました。

東大志望という挑戦

”Another Try! ~東大女子の浪人体験記~”第14回は、神奈川県出身の工学部4年生、Y.Oさんにお話を伺いました。

10点に泣いた現役時代

ー早速お話を伺っていこうと思います!東大を志望した理由について教えてください。

   時系列を追って話すと、私はまず高1の時に、漠然とですが東大を目指そうと決めました。私の学校は中高一貫校ということもあり、高1の春に進路指導調査が行われたのですが、その時はまだ何も分からず、その旨を先生に伝えたら、「それだったら東大にしてみなよ」と言われ東大を第1志望にしました(笑)

   その時は東大の志望度はあまり高くなかったのですが、高1の12月に女子高校生に向けた東大の説明会に参加し、そこで実際に東大女子の話を聞いたことで、東大に行きたいという気持ちが強くなりました。そしてその後もリサーチを重ねて、高2の春ごろに、進振り制度や自宅から通えること等を踏まえて最終的に東大を目指すことを決めました。

ーそうだったのですね!現役の時はどの科類を受験しましたか?

   はい、理科2類を受験しました。

ー理科2類を志望した理由について教えてください!

   高2の時に学校で卒業論文のようなものを書く機会があり、その際に自分が環境に関する事柄に関心を持っていることに気づいたからです。それについて学ぶには、農学部か工学部の都市工学や社会基盤系の学科が適していると思い、そのような進路に進みたいと考えていたところ、折よく「理科1類はほとんどの人が工学部に行く傾向があって理科2類は農学部に行く人が多いけど工学部に進学することもできる」という話を聞き、それなら理科2類にしようと思いました。

   あとは単純に、成績的に理科2類は理科1類よりも入りやすい(注1)ということがありました。高3の受験直前は、そのことが最終的に決め手になったと記憶しています。

注1:例年、入試において理科1類よりも理科2類の方が合格最低点が低い。

ー現役の時の手応えはどうでしたか?

   結果的に、現役の時は10点差で落ちました。私の受験した年は数学が非常に簡単だったのですが、試験終了後にネット速報で答え合わせをしたら、致命的なケアレスミスに気づいてしまって…。簡単なだけにミスは許されないような試験だったので、正直終わったなと感じました。他の科目も、感触的にはイマイチで、落ちていても全然おかしくないような印象でした。

浪人を決めた理由

ー浪人することを決めた経緯について教えてください。

   国公立落ちた場合は私大には行かず浪人しようと、受験前から決めてました。ただ、いざ入試を経験してみると、一つの節目を迎えて精神的に少し疲れたなという想いもあったり、また自分と似た境遇の同級生達が、浪人はせずに私立に行くということもあったりということもあり、自分の中でももう受験は終わりでいいのではないかと迷いが出てきました。しかし、3月の中旬に浪人を少しでも考えている子が学校に集まる機会があり、そこで自分の1つ上の浪人した先輩の体験談を聞いたり、あとは学年の先生が「理系だったら国立の方が研究とかの設備が充実してるしもう一回目指したら」と色々後押ししてくれたりということもあり、初心に返って浪人を決めました。

ー浪人を決めた時、友達や親など周囲の反応はどうでしたか?

   友達の多くは驚きつつも最後は背中を押してくれる印象ではありました。

   親に関しては、母親は「浪人しても全然いいんじゃない」という感じでしたが、父親は私が入試を受ける前は浪人することに少し否定的でした。しかし、私が東大に落ちたと分かった時から、「東大ぐらいのレベルの大学だったら、もう一回目指してでも行く価値はあるんじゃないかな」と言って応援してくれました。最終的には友達も両親も、浪人を後押ししてくれた格好になりますね。

1つのことに全力で取り組んだ1年間

ー浪人時代はどういった生活をしていましたか?

   平日は毎日8時半から予備校の授業があったのですが、私の家は予備校から遠かったので、毎日6時台に家を出ていました。私は申し込んだコースで授業が決まっていたため、1~5限まで授業を受けて、授業が終わった後は自習室で勉強して帰るといった日々でした。自習室は地元の校舎を利用していて、自習室が閉まる時間まで勉強していましたね。

ーかなり勉強漬けの日々という印象を受けたのですが、リフレッシュ等はしていましたか?

  受験が本格化する前は、高校同期で既に大学生になった友達と授業後に会って夜ご飯を食べるみたいなことが3・4回ありました。これが私にとってはリフレッシュになっていたのではないかなと思います。ただ、どこかに遠出することや旅行することはなくて、一日丸々空けて遊ぶというようなことはほぼなかったですね。

ーモチベーションはどのように維持していましたか?

   東大は受験科目が多いので、やることが毎日多すぎてそれをこなすことがモチベーションになっていたかもしれないです。あと、毎月模試を受けるので、そこで良い成績を残せるように頑張ろうと思っていました。

ー浪人中辛かったことはありましたか?

   辛いと思ったことはあまりなかったです。

   大学生が楽しんでいるのを見ると辛くなるからSNSを消すみたいに言ってる人もいますが、私はむしろみんなが大学生になってどんな生活をしているのかに興味があって、SNSを見て、「私は1日これだけ勉強しているのに旅行に行っててずるい」とか全く思わなかったですし、逆に大学生になったらこんなに色んな生活があるんだーっていうのを知ることができて楽しかったです(笑)

ーY.Oさんにとっては逆にSNSがモチベーションになっていたのですね!

ー浪人生活を今振り返ってみて、良かったなと思うことがあれば教えてください!

   浪人して良かったことは大きく3つあるかなと思っています。

   1つ目はメンタルが強くなったことです。浪人の時に不安がなかったというわけではないのですが、現役の時は不安が大きくて、不安が勝ってしまい自分の力を出し切れませんでした。だけど浪人の時は、「これぐらい自信を付ければどうにかなるでしょ」みたいな、何事にも動じない強い気持ちで受験に臨み自分の力を出し切れました。浪人生活を通じて、精神的な強さを身に付けることができたと感じています。

   もう1つは、単純に1つのことに全力を費やすという経験ができたことです。浪人生で言えば「勉強」になりますが、浪人の1年は、食事・睡眠など生きるために必要なこと以外は全て勉強みたいな日々で、勉強という1つのことにこれだけ全力を費やせたのは多分今までの中でも浪人期しかなかったし、これから先もあるかどうか分からないぐらいだと思います。同時に色々なことに挑戦するのも大事だと思いますが、1つのことに全力で取り組む経験も大変意味のあることだと私は思っていて、その点で言えば浪人の1年は非常に貴重な1年だったと感じています。

   3つ目は、今でも仲の良い友達ができたことです。大学に入ってからも、会って話したりとかしています。今でも仲の良い友達ができて良かったと感じています。

大学生活

ー東大に入って良かったと思うことを教えてください!

   大きく3つ、順にお話しします。1つめはの周囲のレベルが高いことです。忙しい中でも合間を縫って作業を行い、期限に間に合わせたりだとか、やばいと言いながらレベルの高いプレゼン発表をしたりだとか、頭の回転の早さ、要領の良さを感じることが多々あって、自分は東大に来たのだなという気持ちになります(笑)

   2つめは、様々な分野の授業を受講できたことです。必修の授業が多かったとはいえ、他大学にいればきっと履修できなかったであろう授業も受講することが出来て、教養を深めることができたと感じています。

   3つめは、入ったばかりの時にクラスという1つの小さなコミュニティがあることです。クラスの繋がりがあるということを他の大学ではあまり聞かないので、クラスがあるのは東大の魅力かなと感じています。ちなみに、理科2類と理科3類は同じクラスになるのですが、おかげで理科3類の人の凄さを肌で実感することが出来ました(笑)

ー学部・学科はどのように決めましたか?

   もともと都市工学部の中の都市環境という専攻が、環境のことについて深く学べるということで自分の進学先の候補に入っていました。ただ、一口に環境と言っても環境に関する学問は多岐にわたり、環境へのアプローチ方法も多様です。例えば、工学部の他の学科には化学的な観点から環境を支える学科もあります。選択肢が多く、どの学科に進学するべき進学選択の締め切り直前まで非常に迷ったのですが、環境について1番ダイレクトに扱っているのが都市工学部の都市環境だったので私は最終的にそこへの進学を決めました。

ー研究内容について教えてください!

   私の学科は、今は研究活動はまだ本格化していないですが、研究テーマの大体の方向性としては、気候変動の市民リテラシーについて研究していきたいと思っています。

ー気候変動の市民リテラシーとはどういった内容なのでしょうか?

  気候変動問題というワードだけが独り歩きする今、多くの人は気候変動が深刻な問題だと理解してますが、具体的にどういうところに問題があるのか等詳しく知ってる人は意外と少ないです。そのような状況において、気候変動のどういう内容をどういう方法で一般市民に広げていくのかを考えるのが気候変動の市民リテラシーです。

ー将来は、どのような職業につきたいと考えていますか?

   専門性を活かせる職につきたいと思っています。職業と学科で学んだことを切り離す人も私の学科には割といますが、私は研究と職に関連性がある方が良いなと思っていて、研究職とまではいかなくても、専門性を活かせる職業につきたいと考えています。

メッセージ

ー最後に、浪人を迷ってる子や女子高校生に対してメッセージをお願いします!

  浪人って聞くとそれだけであんまり良いイメージを持たない人も多いと思うし、高校生だと現役思考を刷り込まれていて浪人は負け組という印象を持つ人も少なからずいるんじゃないかと思います。だけど、1つのことに打ち込める、限界まで勉強して1つの目標につき進めるっていう機会もなかなか訪れないと思うし、そこで得た経験が意外と大学生活で活きている部分もあるので、そういうチャンスが降ってきたというポジティブな思いで頑張ってほしいなと思います!

ーありがとうございました!