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インタビュー内容紹介

polarisの新企画 "Another Try! 〜東大女子の浪人体験記〜" 、初回は理科一類2年の廣佳穂里さんにお話を伺いました。



都道府県:

奈良県

名前:

廣佳穂里(ひろ かほり)

出身高校:

私立四天王寺高校

入学時の科類:

理科一類(2019年度入学)

進学先:

未定

中学、高校の部活:

(中学)バトントワリング部 
(高校)化学同好会

医学部と迷った現役時代

ーそれでは早速お話を伺っていきたいと思います!現役時代は、東大志望だったのですか?

 はい。元々理科一類志望でしたが、センター試験がうまくいき、「今年で決めたい」と思って二次試験直前に(合格最低点の低い) 理科二類に志望を変更しました。

ー二次試験はどうでしたか。

 清々しいくらい全然できなくて、「こんなできないんだ!」とびっくりしました。帰りの電車で母親に、「多分落ちたからよろしくお願いします」 と言いました。母親は「結果はまだわからないし、好きにしていいよ」と言ってくれました。

ー東大以外の大学も受験しましたか?

 はい。後期試験で関西地方の医学部を受けて、受かっていました。(そこに進学するかは)結構迷いました。

ーなぜ医学部を受験したんですか?

 高校が医学部を推している学校で、成績がいい人はみんな医学部に、という流れに自分も乗った感じです。

ーどうして東大を志望したんですか?

 高校二年生くらいから成績が上がり始めたので、一年目は志望校について深く考える時間がなかったんです。想定していたよりいいところに行けるんじゃないか?と思い始めて。 それで、偏差値を基準に考えて東大を志望しました。1日ごとに気持ちが(東大か医学部か)揺れ動いていました。

ーそれでも、東大を目指して浪人しよう、と思ったんですね。

 はい。二次試験を受けた日に、初めての東京で本郷キャンパスを見て、「ここがいい!」と思って。(後期で受かっていた)医学部と迷っていたのは、そこにいきたいと思っていたのではなく、 消極的な理由になってしまうからで、だったら東大を目指した方が後悔しないのでは、と思いました。

同級生の中ではレアキャラ⁉

ー浪人時代のお話を伺っていこうと思います。廣さんと同じ高校で、東大を目指して浪人を決めた同級生は結構いたのですか?

 ほぼいなかったです。医学部志向の学校で、女子校だったこともあって、東京(の大学)を目指す人が少なかったんです。関西圏か、医学部か、って感じでした。地方の医学部や、大阪大学、 京都大学の人もまあまあいました。だから、私はレアキャラだったと思います。

ー心細くなかったですか?

 心細さはあまり感じなくて、むしろレアな自分に酔っていた、という感じです(笑)。挑戦してみよう、という気持ちでした。

ー浪人を決めたとき、周りの人たちはどんな反応でしたか?

 現役時代に通っていた予備校の職員の方に結構相談していたので、「後期で受かった医学部にいくより、東大を目指してもう一年頑張ったら?」と言ってくれて背中を押されましたね。
両親も後押ししてくれました。頑張ってね、って感じです。

2年目も東大を目指すのか・・・?

ー浪人時代は、周りの人との関係はどうでしたか?

 2年目にどこを受けるかで両親と揉めました。東大に落ちたらどうしよう、と、親も自分も怖くなってきて。後期の大学に行くくらいなら京大にしておいたら、と言われました。

ーそれでも、東大志望を変えなかったのはどうしてですか?

 元々、「一人暮らしするなら東大だけ」と親に言われていたんです。私も、親が厳しいから、「大学に入ったら一人暮らしする!」と宣言していました。
確かに京大の方が明らかに安全圏だったので自分自身迷っていましたが、予備校の担任などが、「東大でもA判定が出ているから大丈夫だよ」とか、「東大の問題形式の方が向いている」、「怖がりすぎない方がいいよ」と言ってくれて。予備校では、人に恵まれましたね。

ーなるほど。予備校はいい環境だったんですね。

 はい。(医学部と迷っていたこともあって、)私は東大クラスではなく、医学部を目指すクラスに所属していたので、クラスメイトとは志望校が被らず、逆に良かったのかもしれません。

浪人が楽しかった!?

ー予備校と高校ではどんな違いがありましたか?

全然違いますね。予備校は授業が上手な先生が多かったですし、自分自身も高校の時より自分のレベルが上がっていたのもあると思います。余裕がある上で、学び直している感じです。

ー特に楽しかった教科は何ですか?

 現代文です。現役時代には現代文は全く勉強していなかった科目で、「勘で解くもの」と思っていたんです。ですが、予備校で、「現代文ってこんなに論理的に解けるんだ!」と思うようになって。 あとは、先生方が、今まで会った中で一番知的な大人でした。「こんな考え方ができるようになりたい」と思いました。

ー一日中勉強で、辛かったことはなかったですか?

 あんまりなかったです。高校の延長、という気分で行けたからかもしれません(笑)。現役時代は、塾の勉強をするべきか、参考書をするべきか、というような感じで迷いがあったので、目標もやるべきことも決まっていたという点では、むしろ高校より楽だったかもしれないです。
予備校は思ったより苦痛じゃなかったですが、センターの点数が、現役時代より下がってしまって、親に「1年間何をやっていたの?」と言われたのが辛かったです。
自分も親もお互い精神が安定していなくて、些細な喧嘩をいつもしていたことがキツかったですね。

浪人を経て思うこととは・・・?

ー浪人して良かったなと思うことはありますか?

 自分の将来について考えられたことです。一年の間に、本当に医学部に行きたいのか、何がしたいのか、考えることができました。
予備校の先生に言われた「ここでの勉強を、大学入試のためのものにして欲しくない。大学に入ってからが本番」という言葉が心に残っています。

ー無事、東大に合格されたわけですが、東大に入って良かった、と思うことはありますか?

 クラスやサークルに、同い年とは思えないような、いろいろな面ですごい人がいます。尊敬できるし、刺激にもなります。

ー浪人生時代・高校生時代と比べて、成長したと思うことはありますか?

 一人暮らしを始めて、お金の使い方を決めるとか、自立ができたと思います。人からやりなさい、と言われることがなくなったので、自分で課題やテストに向けて自発的にやるようになりました。

ー将来に向けて、目標や夢はありますか?

 (インタビュー時は進学選択の前)まだ、どこの学部に行くかを迷っている状態です。その時その時にすべきことを一生懸命しながら、まだはっきりとは決めずにもう少しじっくり考えていきたいと思っています。

みなさんにメッセージ!!

ー最後に、女子高校生・浪人生に向けて、メッセージがあれば聞かせてください。

 浪人を決めた時は悲観的になりがちだと思いますが、自分の将来と真剣に向き合えるいい機会です、1年間の猶予をもらったと思って、あんまり悲観的になりすぎず、頑張ったらいいと思います。
後から考えると、(浪人生時代は)すごく充実した1年間だったと思います。浪人したことを後悔したことはありませんし、その時は苦しいかもしれないけれど、長いようであっという間の一年です。
東大に入ってみると、思ったより地方から出てきた子もいます。上京するのは怖いと言えば怖いけれど、同じように一人暮らしの子もいるので大丈夫! 地方だから受かりにくいわけではありません!

〜インタビューを終えて〜

現役時代より浪人時代の方が勉強を楽しめた、と語る廣さんの姿はとても印象的でした。将来自分が何をしたいのか考える時間が増える、という点は、浪人の大きなメリットですね。また、廣さんのように、塾や予備校に通うことで、尊敬できる先生や友人と出会う頃ができるかもしれません。
みなさんもぜひ廣さんの進路選択を参考にしてみてください!